髑髏天使
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第四十六話 形変その十一
妖魔がだ。言ってきたのであった。
「いいか」
「無論だ」
「既にこちらはできている」
「我が二人の相手になる」
こう二人に告げるのだった。
「楽しませてもらう」
「稲妻か」
髑髏天使は彼を見て最初はそう見た。
「そうだな」
「違うな。火だ」
「火だというのか」
「もっと言えば雷炎だ」
それだというのである。
「我はそれなのだ」
「雷炎か」
「その力を見せよう」
この言葉と共にでだった。洋間は自然と増えていった。
一人が二人になり二人が三人にだ。そうして無数に増えていくのであった。
「増えたか」
「言っておくが分身ではない」
増えながら死神に対して言葉を返す。
「それは言っておこう」
「では現実の身体か」
「如何にも」
「そうか」
それを聞いてもだ。動じない死神だった。
そしてだ。彼は身構えるのだった。
「ならばだ」
「来るか」
「行かせてもらう」
こう言ってであった。そうして。
彼はあの漆黒の姿になった。それからだった。
彼もまた増えようとする。しかしここで、であった。
「待って」
「何だ」
目玉が出て来た。その彼に応えた。
「何かあるのか」
「あるから出て来たんだよ」
こう返す目玉だった。
「だからだよ」
「それでは何だ」
「あのね、今わかったことだけれど」
「今か」
「そう、わかったんだ」
これが目玉の言葉だった。
「あることがね」
「あることだと」
「これは髑髏天使もだけれど」
「あいつもか」
「うん、彼は自分でできるみたいだけれど」
死神にだ。さらに話すのだった。
「君の場合はね」
「違うか」
「そう、僕が必要なんだ」
「貴様がか」
「ほら。君と僕は」
「同じか」
「一心同体じゃない」
そうだというのだった。
「生まれた時からね。一緒だったしね」
「お互いの考えていることがわかり」
「意志の疎通も言葉なしでもできるし」
それもだというのだ。
「だからね。僕達はね」
「だからか」
「そう、同じだから」
そしてだ。目玉はまた言った。
「僕の力が必要になるんだ」
「それではどうなるのだ」
「どうなるかだね」
「そうだ、何がどうなる」
今度は目玉にこのことを問うのだった。
「一体だ。どうなるのだ」
「まずはね」
「まずは、か」
「バイク呼んで」
それをだというのだった。今度はだ。
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