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髑髏天使

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第四十五話 新生その十三


 黒い光である。有り得ない混沌の光を放つとだった。それによってだった。
 目の前にその妖魔が出て来た。それはだった。
「また趣向を変えてきたな」
「妖魔ごとに何もかもが違うのだな」
「妖魔は数多い」
 男はその妖魔を後ろにおいて話すのだった。
「こうした妖魔もいるのだ」
「そうか」
「成程な」
 二人は男の言葉を聞いてまずは納得して頷いた。そうしてだった。
 あらためてだ。男に対して言った。
「ではだ」
「はじめるのだな」
「そうだ」
 その通りだと返す男だった。
「思う存分戦うがいい」
「貴様と戦うことはできないがな」
「その妖魔と戦わせてもらおう」
「そしてここで死ぬのだ」
 また言う男だった。
「いいな」
「大阪城は人が死ぬ場所ではない」
 牧村はその男に述べた。
「言っておくがな」
「ではどうした場所だというのだ」
「最早戦う場所ではない」
「そうでなくて何だ。墓標でもないとすれば」
「人が見る場所だ」
 それだというのだ。
「文化としてな」
「文化。聞き慣れない言葉だな」
 その言葉にはだ。男はその感情に微かにいぶかしむものを入れた。
 そしてである。こう言うのだった。
「何だそれは」
「貴様等の世界にはないのか」
「ない」
 まさにそうだというのだった。
「我等にあるものは破壊と混沌だけだ」
「だからか」
「文化はない」
 そしてだ。こう言うのだった。
「余興はあるがな」
「余興!?」
「そうだ、余興はある」
 それはだと二人に話す。
「我等の下僕達に考えを授けそれをさせることはだ」
「それはあるというのだな」
「様々な場所での怪しい街やならわし」
 ここで死神が言った。
「あれか。ネクロノミコンにも書かれている」
「如何にも。それはある」
 男は死神のその言葉に応えて話す。
「そうしたものはだ」
「しかし文化はないか」
「そんなものはない」
 また言う男だった。
「決してな、ないのだ」
「そうか、それはわかった」
 死神は男のその言葉を聞いてまずは頷いた。
 そしてだ。彼にあらためて言うのだった。
「話はこれで終わりだな」
「そうだな。これでだな」
「でははじめるとしよう」
 ここでその妖魔を見た。男の後ろにいるその妖魔をだ。
 そのうえでだ。彼は妖魔を見てまた言った。
「馬の頭を持つ鳥か」
「クームヤーガという」
 男がその妖魔の名前を話した。
「この妖魔はだ」
「そうか、わかった」
 死神は男のその言葉に頷いて返した。
「名前はな」
「では相手をするのだな」
「いいだろう」
 また死神が言った。そしてだ。
 牧村もだ。ここで言うのだった。
「やがて貴様と戦うその時の為にだ」
「今はクームヤーガと戦うのだな」
「そうさせてもらう。それではだ」
 構えに入った。両手を拳にして己の胸の前に持っていく。  
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