髑髏天使
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四十一話 暗黒その五
「何でもその人が大学にいた時からだから」
「百歳超えてたって言われてたんですか」
「実際の年齢は不明なのよ」
そうだというのだった。
「実はね」
「やっぱり凄い人ですね」
「そう思うでしょ」
「お兄ちゃんそんな人に気に入れられてるんですか」
「悪い人じゃないわよ」
若奈は博士の人柄についても話した。
「別にね」
「仙術とか使ったりしないんですか」
「わかってる限りはね」
随分とあやふやな言葉だった。
「多分」
「多分なんですか」
「そう、多分だけれどね」
やはり言葉はあやふやである。
「そうみたい」
「それでも百歳超えて教授ですか」
「お元気よ。声だってしっかりしてるし」
「普通もう八十でよぼよぼになりますけれど」
「それでもなのよ」
博士はそうした意味で規格外だった。
「歩くのも平気だし」
「衰えてないんですね」
「そうね、本当にね」
「そんな人が八条大学におられるんですか」
「そうよ。凄いでしょ」
「ううん、信じられません」
未久は腕を組んで考える顔を見せた。
「本当に」
「実際に大学に来てみればわかるわ」
「八条大学にですか」
「多分未久ちゃんが入学する時にもいるから」
こう話すのである。
「多分ね」
「あの、五年程先なんですけれど」
未久は若奈の今の言葉にこう返す。
「それって」
「それでも多分ね」
「生きてます?その博士」
「絶対に生きておられるわ」
若奈はこのことを確信していた。
「もうね」
「そうなんですか。それだったら」
「八条大学受けるの?」
「はい、そのつもりです」
このことはある程度決めていることだった。
「近いですしレベルも高いですし」
「就職先もしっかりしてるしね」
「そうした意味ではいい大学ですよね」
「キャンバスライフも楽しいわよ」
それもだというのだった。
「だからね。入られたら入るといいわ」
「わかりました」
「その頃には私も牧村君も卒業してるけれど」
「卒業してなかったら怖いです」
若奈はこのことにもすぐに返してきた。
「っていうかその頃ってもう大学七回生ですけれど」
「大学には普通にいる」
こう話してきたのは牧村だった。相変わらず休んでいる。
「普通にな」
「そうした主みたいな人いるのね」
「八回まではいけるから」
若奈も話してきた。
「大学はね」
「小学校より長く過ごせるんですか」
「過ごそうと思えばね」
「大学って凄いですね」
腕を組んでの言葉だった。胸の下に組んでいるがそこに胸が乗ることはない。見ればその胸はまだまだ小さい。しかも成長する気配も見られない。
「それだけいられるなんて」
「未久ちゃんは何年いるつもりかしら」
「四年です」
普通の卒業年数である。
「それ以上は」
「そうなの」
「いるつもりないですから」
憮然としてかつ真剣な言葉だった。
「八年なんて」
「そうよね。女の子で大学留年する娘っていないのよね」
「そうなんですか」
「大抵は男だ」
牧村も言ってきた。
ページ上へ戻る