髑髏天使
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第四十話 漆黒その三
「味の謎じゃ」
「じゃあ食べればわかるよ」
「それでね」
「充分にね」
妖怪達もにこにこしながら博士の周りで話す。
「それだけじゃない」
「それじゃあ今からね」
「行かない?」
「うむ、そうじゃな」
神妙なものにさせている顔はそのままであった。
「では行くとするか」
「さて、お店は何処かな」
「何処がいいかな」
「それが問題だけれどね」
「ここはじゃ」
博士はここであえてといった感じで話した。
「立ち食いにするとするか」
「立ち食いそばの店でか」
「あれがいいのじゃよ」
博士は今度は牧村に話す。
「立ち食いと言っても馬鹿にはできんぞ」
「僕達最初から馬鹿にしていないし」
「そうだよね」
「ねえ」
「立ち食いもね」
妖怪達もそれは言う。
「ちゃんと認めてるよ」
「それで差別しないし」
「美味しいしね」
「だよね」
「立ち食いを馬鹿にする奴は立ち食いに泣くものじゃ」
博士はまた真理を話した。
「そういうものじゃ」
「じゃあ泣かない為にも」
「今はね」
「そこに行くんだね」
「さて、どの立ち食いに行くかじゃな」
次の話はこれであった。問題は幾らでもあるのだった。
「何処に行くべきかじゃが」
「鶴橋はどうだ」
牧村はここで言った。
「そこはどうだ」
「鶴橋か」
「近鉄の鶴橋の駅の下だったな」
場所も話した。
「そこの立ち食いは美味いらしい」
「ふむ、ではそこにするか」
博士もそれを聞いて頷く顔になった。そのうえでの言葉だった。
「今からのう」
「そうするといい。それでどうする」
「ではそこにするとしよう」
博士は即座に決断を下した。
「地下鉄ですぐじゃしな」
「大阪って地下鉄便利にできてるよね」
「それで何処にでも行けるしね」
「ちょっと路面が複雑だけれどね」
妖怪達もその路面についてはもう知っていた。大阪の地下鉄の。
「それでも便利だよね」
「そうそう」
「凄くね」
「あとさ」
「やっぱり大阪だよね」
ふと妖怪達の話が変わった。
「ここってね」
「そうだよね」
「それはどういうことじゃ?」
博士が妖怪達の今の話に問い返した。
「何かあったのか?」
「いやさ、阪神の帽子被ってる人が多いよね」
「法被着てる人もいるし」
「かなり多いよね」
「そうそう」
「大阪じゃからな」
博士も妖怪達と同じことを言った。
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