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髑髏天使

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第三十七話 光明その五


「クローンにも見えるしな」
「そうだよな」
「本当は親子だったりしてな」
「あはは、それもあるよな」
「生憎だけれどそれはないから」
 叔母は笑って親子の可能性は否定した。
「私は男の子しかいないからね」
「何だ、そうなのか」
「ここで実はだったら面白かったのにな」
 男達は今度はこんなことを言った。
「もっとな。こう面白い話がな」
「なってればよかったのにな」
「それは無茶よ。とにかくね」
 また言う叔母だった。
「この娘も宜しくね」
「はじめまして」
 若奈は客達に深々と頭を下げた。小柄だが身体は思いきり動かす。
「奥谷若奈といいます」
「へえ、若奈ちゃんっていうのか」
「いい名前だよな」
「そうだよな」
 彼等は笑顔でそれぞれ若奈を褒めだした。
「顔に合った名前っていうかな」
「だよな、けれどこの顔だと」
「顔ですと?」
 ここでだった。話が微妙に変わってきた。彼等はこう言ってきたのだ。
「アイドル。なれるよな」
「ああ、なれるよな」
「絶対にな」
 その若奈への言葉である。
「モーニング娘。とかAKB48とかな」
「普通に入られるよな」
「それでトップアイドルな」
「ああ、すぐになれるよ」
 こうも言われるのだった。
「簡単になれるよな」
「ここまで奇麗で可愛いとな」
「声だって奇麗で」
 若奈は声もいいのだった。それもしっかりとチェックされていた。
「笑顔もいい。しかも」
「礼儀正しくてさ」
「頑張り屋みたいだし」
「そうよ。凄い頑張ってくれるのよ」
 叔母がここでまた話すのだった。
「いつもね。何でも物凄く頑張ってくれるのよ」
「そうだろうな。いい娘だしな」
「やっぱりそうか。じゃあこれは増々な」
「ああ、アイドルになれるな」
「完璧になれるって」
「トップアイドルな」
 只のアイドルではないのだという。トップアイドルだ。若奈はそこまでなれるとだ。彼等はそれぞれ太鼓判を押して言ってみせているのである。
 しかし当の若奈はだ。困惑して言うのだった。顔は真っ赤である。
「あの、私はそんな」
「いや、嘘じゃないから」
「本当になれるから」
「ああ、なれるからな」
「絶対になれるさ」
 だが彼等はまだ言う。どうやら相当若奈が気に入っているらしい。
「松田聖子も中森明菜もな」
「それ古くないか?」
「じゃあ小泉今日子か早見優な」
「同じ年代だろうが」
 こんな話がされる。
「それじゃあ高橋由美子か」
「それも少し古くないか?」
「よし、松浦亜弥か藤本美貴だ」
「一気に飛んだ感じがするな」
 アイドル達を出しての話になってきていた。
「今じゃやっぱり前田敦子か?」
「俺は大島優子の方がいいな」
「いや、篠田麻里子だろ」
 こうした話にもなるのだった。
 そしてだ。また言われることはだ。
「そうした娘にも勝てるんじゃないのか?」
「なあ、この娘な」
「勝てるだろ」
「そうかもね」
 叔母も彼等の言葉に頷くのだった。
「この娘だったら。アイドルにもね」
「ちょっと、叔母さんまで何言うのよ」
 若奈は完全に困っていた。あたふたとしながら叔母に対しても言う。 
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