髑髏天使
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第三十三話 闘争その五
「普通にね。魔道に堕ちるよね」
「そうだよね」
「幾ら何でもね」
「そんなことがまかり通る社会って何?」
その教師の世界についての言葉だ。
「それで何のお咎めもなしだよね」
「そこまでして」
「それどころか床の上で背負い投げまでする」
これもまた有り得ない話だった。
「しかも受身を知らない生徒相手にだ」
「それって人間の世界じゃ犯罪なんじゃないの?」
「完璧に」
「床で背負い投げって」
「危ないから畳を使うのに」
柔道が畳の上で行われるのにはしっかりとした理由があるのだ。畳は衝撃を緩和するからだ。その為柔道では畳を使うのである。
「それでそれって」
「おかしいでしょ」
「っていうか先生って何?」
「犯罪しても捕まらないの?」
「しかも」
話はそれで終わりではなかった。
「まだある」
「まだあるって」
「どれだけとんでもないんだよ」
「異常過ぎない?」
「他の部活の練習の前で生徒を殴ったり蹴ったりしても一切お咎めなしだ。むしろそこに連れ出してやっていた」
これが現実であるから恐ろしい。それこそ悪魔が昼の空を飛び回っていてもおかしくはない、それが教師の世界というものなのである。
「それをだ。竹刀を蹴ったりしてな」
「剣道やる資格ないね」
「っていうかそれ人間?」
「魔物になってるんじゃないの?」
「人間は腐敗する時は何処までも腐敗する」
そうしたことも話す牧村だった。
「教師の世界がその証左だ」
「しかし。それで一切お咎めなしって」
「とんでもない世界だよね」
「あのさ、政治家とか官僚の世界の比じゃないんじゃないの?」
妖怪達も人間の世界のことに詳しい。それで眉を顰めさせながら言うのだった。幾ら何でも有り得ないというのだ。その教師の世界はである。
「そこまで出鱈目だなんて」
「酷過ぎるっていうかさ」
「異常じゃない」
「あの世界は生徒のことなぞ考えてはいない」
日教組の体質でもある。彼等はあくまで自分達のことしか考えていない。生徒のことなぞ口だけでしかない。近頃ではそれもかなぐり捨てているようであるが。
「何一つとしてだ」
「自分達だけなんだね」
「そういう世界なんだね」
「そうした世界だ。マスコミの世界も同じだがな」
「何か社会の木鐸とか聖職者っていうけれど」
「全然嘘なんだね」
「全くの逆じゃない」
その軽蔑の感情を露わにさせる妖怪達だった。
「で、その教師は?」
「まだ教師やってるの?」
「やってるっぽいけれど」
「流石に問題になったが今でも教師をやっている」
牧村はここでも事実を話した。
「今もだ」
「凄いっていうか」
「もう幾ら驚いたかわからないけれど」
「酷い世界だよね」
「何、それ」
妖怪達の誰もが呆れる話であった。
「そこまでやったら絶対にいられないじゃない」
「人間の世界で言うと。確か」
「これだよね」
河童が右手で自分の首をかき切る動作をしてみせた。その時にその青い舌も出してみせる。如何にもコミカルな動作ではある。
「どう考えてもね」
「それしかないよね」
「っていうかならないんだ」
「教師の世界とマスコミの世界は不祥事には強い」
当然それはいい話ではない。
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