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髑髏天使

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第二十八話 監視その十五


 それで魔物を襲う。一気に黒焦げにせんとする。
「これはどう防ぐ」
「雷をか」
「雷は水を通す」
 このことを彼に問うのだ。
「そうだな。それはどう防ぐ」
「確かにそれはその通りだ」
 魔物もそれは否定しない。
「しかしだ」
「しかし?」
「通すだけだ」
 それだけだというのだ。
「だからだ。どうということはない」
「どうというころはないだと」
「そうだ。見るのだ」
 見ればだった。雷は彼の身体を通り過ぎるだけであった。それで終わったのだ。
「こういうことだ」
「雷は効かないというのか」
「今の俺には効きはしない」
 あくまでそうだというのである。
「わかったな」
「それもわかった」
 一応はこう答える。
「しかしだ」
「しかし?」
「これで貴様は死んだ」
 髑髏天使は彼に言い切ってみせた。
「完全にだ」
「俺が死んだというのか」
「そうだ。確かに貴様の水と木の力は見事だ」
 それは認めるのであった。
「しかしだ」
「しかし?」
「そのどちらかを消せばそれで済む」
 言いながらであった。また権天使になってみせた。
「どういうつもりだ」
「まずは火だ」
 言いながら彼のその周囲を紅蓮の炎で包んでみせた。ぶつけはしない。
 それで彼を囲んでだ。言うのであった。
「どうだ、これは」
「どうということはない」
 それは大したことはないというのだ。
「この程度はな」
「そうだな。しかしだ」
 ここで髑髏天使はさらに言う。
「貴様の水はどうだ」
「何っ!?」
「貴様の水は消えていっている筈だ」
 このことを言うのだった。
「貴様のその水はな。水は確かに火に強い」
「それをわかっていれば何故だ」
「だが。火は水を消すことができる」
 彼が指摘したのはこれだった。
「そうだな、それはだ」
「そしてどうするつもりだ」
「貴様の水を消し」
 さらに続けていく。
「そのうえで」
「どうだというのだ」
「死んでもらう」
 火をそのままにして。座天使に戻った。
「いいな、それでだ」
「まさかここで」
「そうだ、雷を使う」
 まさにそうするというのだ。
「木は雷に弱い。そうだな」
「確かにな」
 魔物もそれは忌々しげだが確かに認めた。
「その通りだ」
「では死ぬのだ」
 言うとだった。右手のその剣を天に高々と掲げた。 
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