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髑髏天使

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第二十六話 座天その十八


「こういうことだ」
「やるわね」
 それを見て楽しげに笑う魔物だった。
「やはりこれ位はね」
「どうということもない」
 また言う髑髏天使だった。
「この通りだ」
「わかったわ。それじゃあ今度は」
「どうするつもりだ?」
「私もそこに行くわ」
 こう言ってきたのであった。
「そこにね」
「空を飛ぶとでもいうのか」
「そうよ」
 まさにそうだと答える魔物だった。
「そうしてあげるわ」
「貴様は空が飛べるのか」
「貴方にも翼があるように」
 魔物は笑いながら言ってみせてきた。
「私にもあるのよ。だからね」
「その蟷螂の羽根でか」
「見せてあげるわ」
 言いながらであった。彼女はその背中を動かしてみせたのであった。
 その蟷螂の羽根が動いた。すると。
「むっ!?」
「こうしてね」
 言いながらであった。魔物は舞ってきた。天高く飛んできたのであった。
 そうして髑髏天使の高さで飛んでいる。その蟷螂の羽根でだ。
「飛ぶか」
「飛べるのは鳥だけではないのよ」
 魔物はこう髑髏天使に言ってきた。
「虫もまた飛べるのよ。知らないわけじゃないわね」
「そうだったな」
 言われてそのことに頷く彼だった。
「虫もまた飛べる」
「だからよ。さて、いいかしら」
 声が笑っていた。
「行くわよ」
「来るか」
 魔物が動いた。信じられない速さで飛んできた。
 そしてその両手の鎌で襲い掛かってきたのであった。
「さあ、受けるのよ」
「むっ!?」
「私の鎌を」
 突進しつつその鎌を交互に繰り出してきた。まるで風を切るかの様であった。
 まずは右が、そして左であった。
 交互に鎌を繰り出しそれで髑髏天使を両断せんとする。だがそれは。
「くっ・・・・・・」
「やるわね」
 その鎌を両手の剣で防いでみせたのだった。
 それにより危機を乗り越えた。とりあえずは。
 だが魔物はそれで止まらず体当たりも浴びせてきた。それは防げなかった。
 巨体の体当たりを受けた髑髏天使は吹き飛ばされた。空中で激しく飛ぶ。
「うっ、これは・・・・・・」
「私の武器は鎌や鎌ィ足だけじゃないのよ」
 体当たりを浴びせてからの言葉であった。
「こうしたものもあるのよ」
「身体もだというのか」
「そういうことよ」
 空中で何とか体勢を取り直した彼に対しての言葉である。
「この巨体もまた私の武器なのよ」
「そうだったのか」
「意外だったかしら」
「ふん、確かに気付かなかった」
 それは彼も認めたのだった。
「だがだ」
「だが?」
「そうだ。俺はまだ立っている」
 こう魔物に言ってみせたのである。 
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