髑髏天使
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第二十一話 人狼その六
「だから出してるのよ」
「あらゆることを考えてか」
「牧村君ビールは飲まないけれど」
酒を飲まない牧村のことはよくわかっているのであった。
「それでも気をつけてね。お肉は食べるわよね」
「何でも食べる」
これが今の返事であった。
「肉は何でもな」
「鶏肉はいいけれど」
若奈は肉についても述べてきた。
「牛肉とかはね」
「食べ過ぎると駄目だな」
「そうよ。食べ過ぎが駄目なのよ」
若奈はこう言うのであった。
「そうしたお肉はね」
「では牛肉はあまり食べ過ぎないことか」
「むしろ豚肉の方がずっといいわ」
そして彼女が勧める肉はこちらなのだった。
「羊もかなりいいわ」
「羊もか」
「あれはカロリーもかなり少ないし」
そこまで調べているのであった。
「いいわよ。豚肉は料理次第でコレステロールもかなり解消されるし」
「だからいいのか」
「カロリーは確かにあるけれど牧村君の場合は」
牧村自身に当てはめて考えもするのだった。
「むしろカロリーはどんどん摂るべきだから」
「気にしなくていいか」
「かなり動いてるから」
これはもう言うまでもないことであった。牧村の運動量は尋常なものではない。それは即ちそれだけカロリーを消費しているということでもある。
「だからね。かなり摂っても問題ないわ」
「わかった」
「金田正一さんだって」
往年のプロ野球の名選手だ。四百勝したことで名高い。
「一日に相当なカロリーを摂ってたのよ」
「そんなになのか」
「確か普通の人の倍位に」
そこまで摂っていたのである。普通の人間は一日三〇〇〇カロリーであったが金田は六〇〇〇カロリーであった。これは尋常なものではない。
「摂っていてそれでね」
「身体を動かしていたのか」
「相当走っていたそうね」
金田の強靭な足腰はそのランニングによって作られたのである。
「他にも相当なトレーニングしていたそうだし」
「それでかなりのカロリーが必要だったのか」
「カロリーはあれよ」
さらに言う若奈であった。
「エネルギーだから。摂っちゃいけないってことはないのよ」
「よく太らない為にカロリーを摂らないというのはあるがな」
「あれは人それぞれよ」
そうだというのである。
「だから。摂らないといけない人は摂らないといけないのよ」
「俺はその摂らないといけない立場か」
「そういうこと。摂らないといけないの」
また言うのであった。
「それもかなりね」
「ではそうさせてもらうか」
「相当摂っても大丈夫よ」
カロリーに関してはかなり寛容な若奈であった。
「甘いものだって」
「そちらもか」
「それで私考えたんだけれど」
何とか牧村のランニングに自転車でつきながらの言葉が続く。
「豆乳やお野菜を使ったデザートはどうかしら」
「豆乳か」
「お野菜はもうあるし」
それはもうあるというのだった。
「ほら。苺とか人参とか」
「それか」
「そうよ。あるから」
だからそれはもういいというのである。
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