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髑髏天使

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第五十九話 精神その十八


「これ一本飲んだら普通は太るね」
「一気にくるよ、カルピスって甘いから」
「もう肥満一直線」
「太って仕方ないね」
「普通カルピス一本一気はないのでは?」
 ろく子がここで彼等に突っ込みを入れた。
「カルピス一気にというのは」
「ないのう」
 実際にそうだとだ。博士も言う。
「カルピスはちびちびと飲むものじゃ」
「水に溶かしてですよね」
「うむ。だから一本置いてもじゃ」
 それでもだというのだ。
「牧村君にしろ少しずつ飲むぞ」
「ですよね。カルピスは」
「そういうことじゃ。だからそれはない」
 また言う博士だった。
「それに牧村君はそうそう太らんしのう」
「あれだけ動いてたらね」
「そうそう太らないよね」
「そうだよね」
「だよね」
 妖怪達もそのことについて話す。
「一日何千カロリー消費してるかな」
「五千とか六千は消費してる?」
「それ位は普通にいってるよね」
「そこまでカロリー消費してたら」
 それならばだとだ。妖怪達はそれぞれ話していく。
「太らないね」
「だよね。やっぱり」
「だからそうそう食べても太らないんだ」
「甘いものを食べても」
「甘いものも必要じゃ」
 博士はまた話した。
「糖分はすぐにエネルギーになるからのう」
「けれどカロリー消費以上を摂ると危ないんだね」
「そうなんだね」
「そういうことなんだ」
「その通りじゃ。わしは栄養学もやっておる」
 そちらでもだ。博士は権威なのだった。
「その観点から言うとじゃ。甘いものも多少ならばよいのじゃ」
「あくまで自分の適量だけれど」
「それでもだね」
「そうじゃ。甘いものもいいのじゃ」
 また言う博士だった。
「むしろ太るのを怖がって食べない方がまずい」
「好き嫌いなら仕方ないけれど」
「それでも。極端に我慢するのはよくない」
「そうなんだ」
「何度も見てきた。無理なダイエットをする子をな」
 博士のその目は悲しみを見るものになっていた。
「女の子に多いのう」
「そうですね。確かに」
 ろく子も博士のその言葉に頷く。長く伸びたその首を上下にうねらせて。 
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