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髑髏天使

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第五十四話 邪炎その十三


「それがこの神の名だ」
「名前は聞いた。それではだ」
「戦うのだな」
「そうさせてもらう。どのみちその神を倒さなければだな」
「この世界からは出られない」
 男が答えてみせた。
「そういうことだ」
「生きる為には戦うことか」
「そうだ」
 まさにその通りだというのだ。
「それしかない」
「そうだな。それはこれまでと同じだな」
「死にたくなければ戦え」
 男はまた牧村達に言ってみせた。
「簡単な話だ」
「話はわかった」
「それならだ」
 牧村と死神が同時に言う。
「戦いだな」
「神よ、姿を見せろ」
「わかった」
 その混沌の炎からだ。声がした。
 そしてその声と共にだ。炎が形作られていった。
 炎から炎が生まれ出てだ。なったものは。
「ふうん、禍々しいね」
「そうですね」
 魔神達は既に本来の姿になっている。クマゾッツと虹蛇が述べたのだった。
「今度の奴もね」
「まさに混沌の神に相応しい姿です」
「いい姿だろう」
 その神の言葉である。
 灰色の炎、それが大蛇となった姿だ。その頭には禍々しい冠がある。
 その蛇がだ。言うのである。
「これが余の姿だ」
「確かにな」
 牧村がその神の言葉に応える。
「貴様に相応しい姿だ」
「貴様もそう思うが」
「禍々しい」
 それだというのである。
「そうした意味で相応しい姿だ」
「そうか、禍々しいと思うか」
「そう言わずして何と言う」
「話は聞いた」
 禍々しいと言われてもだ。神は何とも思っていない口調であった。
「そうか。余は禍々しいのか」
「それについては何も思わない」
「そうなのだな」
「そうだ。混沌の世界にはそうした言葉はない」
 だからだとだ。牧村と死神に対して述べた。
「だからこそだ」
「混沌にはないか」
「ないものについて思うことはない」
 そういうことだった。
「それでだ」
「ではだ。考えることはか」
「やはり。破壊と混沌」
「この二つ」
「そうだな」
「今からその為に戦おう」
 こう述べた神だった。
「いいな」
「話は聞いた」
「それもよくな」
 こう返す牧村と死神だった。そうしてだ。
 変身に入りながらだ。また話すのであった。
「では。今度もだ」
「倒させてもらおう」
「来るのだな」
 神もその彼等の言葉を受ける。 
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