ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第一話 覚醒
兵藤一誠が女子と付き合っている。
この噂は三人組に注意した翌日、学園中の女子生徒達が噂していた。
彼女の名前は『天野 夕麻』。長めの黒髪が印象的なおとなしい女の子だった。闇慈がいうには昼休みの時も二人は一緒いて良いムードだった。
そして今日の授業も終わり、午後五時頃に学校を出て何時もの帰り道で帰っていた。そして公園の場所を通り過ぎようとした時・・・
ゾクッ!!
「っ!?何だ?今の感覚は?」
闇慈は一瞬だが体が重くなったように感じ、公園の周りが暗くなり、空間が少し歪んでいた。
「公園の中か?行ってみよう!!」
闇慈は公園の中に足を踏み入れた。そしてそこにいたのは出来たてのカップル、兵藤と天野だった。そして明らかにおかしいと思えたのは天野の雰囲気だった。闇慈は木の裏に身を隠し、様子をうかがった。
「ねえ・・・一誠君。お願いがあるの・・・」
「な、何かな?」
(何を頼むつもりかな?)
「・・・死んでくれないかな?」
・・・沈黙が走った。それもそうだろう。いきなり死ねと言われたのだから・・・
「・・・え? それって・・・あれ?ごめん、もう一度言ってくれない?」
「死んでくれないかな?」
そう言うと天野の服が張り裂け、小柄な少女から大人の女性へと変わってしまった。
そして一番印象的なのは彼女の背中にある大きな漆黒の翼。闇慈はこのとき思い出していた。見た目は興味本意で読んだ世界神話に登場した・・・
(・・・堕天使!?)
闇慈は目を疑った。それも無理の無い話だ世界神話はあくまで空想の話だ。現実に現れるとは思ってもいなかっただろう・・・
「楽しかったわ。子供のままごとに付き合えた感じだった」
天野はそう言うと右をかざすと、光で出来た投げ槍みたいな物が現れ、兵藤に向かって投げた。
ドスッ!!
いやな音が聞こえると光の槍が兵藤の腹を貫いていた。
「っ!!兵藤君!!」
闇慈は居ても立ってもいられなくなり、兵藤の元に駆け寄り、抱え上げたが・・・腹を見事に貫かれ即死していた。
「あなた・・・見てたのね?じゃあ・・・死んでくれない?」
「っ!!」
今度は闇慈に向かって光の槍が投げられた。闇慈は咄嗟に体をずらしたが、少し遅かったのか、右の横腹を掠めてしまい、少し血が流れ始めた。
「ぐっ・・・」
「人間の癖に避けるなんてやるじゃない。でも次で終わりね」
「天野さん。君は・・・堕天使なのか?」
「人間の癖によく知ってるじゃない。・・・良いわ。冥土の土産に教えておいてあげる。そう私は堕天使。堕天使レイナーレ。では、さようなら・・・」
天野・・・いや。レイナーレがまた光の槍を振りかざし僕に向かって投げた。闇慈は痛みのせいで動くことが出来ずにそのまま光の槍を受けてしまった。
「がはっ・・・(この状況はあの時の夢と同じ・・・まさか正夢になるなんて・・・ついてないな・・・)」
闇慈は痛みと出血に意識を刈り取られてしまった。
~~~~~~~~~~~~
僕はどうなったんだ・・・?あはは・・・これが地獄に落ちることなのかな?
――――輪廻に墜ちる若者よ・・・
何だ?声が聞こえる。
――――惨めに死したこと悔しいか?若者よ・・・
・・・悔しいです!!僕は守れなかった。友達の命や自分自身の命さえも・・・
――――ならばわれ我が汝と契約を交わし、もう一度『生』を与え、『力』を授けよう。
えっ!?
――――ただし。この力を受けた暁には汝は普通の人間ではなくなる。表は人間だが、裏は化け者と化してしまう。それでも良いか?
・・・下さい!!僕に・・・『守る』ための力を!!
――――・・・その心意気や良し!!では与えよう!!汝に死神の力・・・『万死ヲ刻ム』力を!!
そして闇慈の中に何かが入ってくるような感覚が走ると僕は再び意識が遠退いた。
~~~~~~~~~~~~
神器(セイクリッド・ギア)を体に宿した兵藤一誠を始末した後、同じ学園の生徒、黒神闇慈も始末することなってしまったけど問題はないはずだとレイナーレは考えていた。
「でもあの男も神器(セイクリット・ギア)を宿していたなんて、とんだ収穫だったわ。私も戻らなけれ・・・」
ゾクッ!!
レイナーレの背後から考えられない程の魔力を感じ、振り向くと始末した筈の黒神闇慈がゆっくりと立ち上がろうとしていた。そして槍が貫いた場所も見る見る塞がっていった。
「そんな・・・私の光の槍に貫かれた場所が治癒するなんて・・・ありえない!!」
「う・・・う・・・うおおおおお!!!」
「っ!!」
闇慈が大きな雄叫びを上げると彼の周りに黒い煙のようなものが体に巻き付いていき、その煙のせいで体が見えなくなった。
「何が起こって・・・まさか!!」
そして煙が弾けるように飛び去ると、闇慈の服装は全身を覆うようにボロ衣で出来た漆黒のマントを羽織り、髪も黒色から銀色へと変わっていた。
「・・・」
そして目を瞑ったままゆっくり右手を前に出すと飛び散った黒い光が集まり、人間なんか簡単に真っ二つに出来るほどの巨大な漆黒の『鎌』が現れた。そして右肩にその『鎌』を担いだ。
「・・・あんな状況で神器(セイクリット・ギア)が覚醒したというの!?」
「レイナーレ・・・だったか?」
「あなたは一体・・・何者なの!?」
「・・・俺か?俺は・・・」
そしてゆっくりと目を開けると真紅の瞳が私を捉えた途端、レイナーレはある感情に襲われた。
(これは『死』に対する恐怖!?そんな・・・堕天使である私が『死』に怯えるなんて!!)
「・・・死神だ。さあ・・・貴様に『死』を見せてやる!!」
後書き
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