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スーパーロボット大戦パーフェクト 第二次篇

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第五話 超獣機神

                 第五話 超獣機神    
 富士においてハニワ幻人達との戦いを終えた甲児達は大空魔竜に乗り込み獣戦機隊がいる厚木に向かっていた。富士から厚木までは目と鼻の先である。
「さて」
 大文字は時計を見ながら言った。
「明日の朝に着けばいい。今日はここで休息をとるとしよう」
「了解」
 ピートはそれに応えて大空魔竜を手頃な場所に着地させた。そしてそこで休むこととなった。
「出発は明日の七時だ。それまで各員英気を養うように」
「わかりました」
 皆それに従いそれぞれ休息に入った。食事を採った後でくつろぐ。中には身体を鍛える者もいた。
「一、ニ・・・・・・」
 鉄也はトレーニング室でダンベルを挙げていた。
「一、ニ・・・・・・」
「鉄也さんも頑張るねえ」
 甲児はその隣で自転車をこいでいた。二人共ジャージである。
「毎日よく続くよ」
「トレーニングは毎日してこそだからな」
 彼は流れる汗を拭きながら甲児にそう答えた。
「それは甲児君だってそうだろう」
「俺はちょっと違うけれどね」
「そうなのか」
「ああ、単なる腹ごなしさ。腹いっぱい食った後は動かないと気が収まらないんだ」
「そりゃあんだけ食えばな」
 サンシローが甲児に言った。彼は腹筋をしている。
「ヤマガタケ並に食うんだもんなあ」
「そんなに食ってるかなあ」
「食い過ぎだよ」
 サンシローはその言葉に苦笑した。
「ピッチャーは試合前なんか殆ど食えないのにな」
「そういやそうだったな」
「ああ」
 サンシローの顔が真摯なものになった。
「それに空腹の方が神経が研ぎ澄まされるんだ。まるで野生になったようにな」
「これから会う連中と同じだな、それだと」
 隼人が彼に対してこう言った。
「そうなのか」
「ああ、御前さんに負けない位熱い奴等だぜ」
「熱いだけじゃねえけどな」
 甲児も言った。
「とにかく血の気の多い連中でな。何かっていうとすぐ喧嘩になるからな。気をつけろよ」
「そんなに凄いのか」
「まあな。命令無視に喧嘩にってトラブルの塊みたいな連中だ」
「悪い奴等じゃないんだがな。実力もあるしな」
「ふうん」
 サンシローは甲児と隼人の説明を聞きながら頷いた。
「それでも何か軍人には思えないな、とても」
「それはあるな」
 甲児はその言葉に応えた。
「けれど一応軍人だぜ。階級もある」
「そうなのか」
「まあそれは行ってからのお楽しみだ。会っていきなり喧嘩売られないように気をつけろよ」
「わかった」
 こうして彼等はトレーニングを続けながら話をしていた。それが終わるとシャワーを浴び眠りに入った。そして次の日の朝予定通り厚木に向かった。
 
 厚木はかっては自衛隊及びアメリカ軍の基地があった。かなりの規模の基地であり今は連邦軍の基地として使われている。多くのモビルスーツや戦闘機等がここに置かれていた。
「しかし何時来てもここはでけえな」
 黒い髪に険しい目をした男が滑走路を眺めながらそう言った。黄色っぽい作業服を着ている。連邦軍のものである。
「そうだな」
 細面の長身の男がそれに応えた。
「流石は連邦軍の一大航空基地なだけはある」
「それだけじゃないからね」
 赤い髪の小柄な青年がここに入って来た。
「俺達もいるし」
「そうだな」
 黒髪の男がそれを聞いて笑った。
「今まで何かと暇だったんだ。これからはまた大暴れさせてもらうぜ」
「あんたは変わらないね、ホントに」
 ピンクの長い髪をしたいかにも気の強そうな女が呆れた顔で黒髪の男に言った。
「そんなんだから三輪長官に睨まれるんだよ」
「それは御前もだろうが」
 黒髪の男はそれを聞き少し怒ったような声で言った。
「この前あのおっさんに面と向かって罵倒しただろうが」
「あれは当然だよ」
 女はそう反論した。
「何処にあんな無茶な命令出す奴がいるんだよ」
「確かにそうだけれどよ」
 どうやらそれは同意なようである。
「けれど掴みかかろうとするのは幾ら何でも駄目だろう」
「全くだ」
 細面の男が呆れたような言葉を出した。
「沙羅、御前はもう少し落ち着いた方がいいぞ」
「亮」
 その女結城沙羅はその言葉に反応し細面の男司馬亮に顔を向けた。
「けどあんただって同じ考えでしょう」
「まあな」
 亮はそれを否定しなかった。
「俺もあの長官は好きじゃない。だがな」
「だが・・・・・・何よ」
「俺達は軍人なんだ。命令には従わなくではならない」
「一応そういうことになってるな」
 黒髪の男はそれに頷いた。
「忍は全然守っていないけれどね」 
 赤い髪の男がからかうようにして黒髪の男、藤原忍に対して言った。
「雅人も人のこと言えねえだろうが」
「あらら」
 赤髪の男、式部雅人はその言葉におどけてみせた。彼等が獣戦機隊のパイロット達である。彼等のロボットが合体してダンクーガになるのである。
「おい、四人共」
 ここで後ろから彼等を呼ぶ声がした。
「ちょっと来てくれ。司令が御呼びだ」
 白衣を着た白い髪の男がそこに立っていた。
「博士」
 彼等はその男の方に顔を向けた。その獣戦機の開発者である葉月健太郎である。
「君達のこれからについて話がある。いいな」
「了解」
 四人は彼に連れられて司令室に向かった。そこにはいかめしい顔立ちをした男がいた。厚木の基地司令に就任したロス=イゴールである。
「四人共よく来てくれた」
 イゴールは四人が部屋に入るとまずそう声をかけた。
「はい」
 亮が四人を代表して応えた。
「俺達の今後のことで話がるとか」
「うむ。今恐竜帝国やハニワ幻人達が活動しているのは知っているな」
「はい」
「それで君達には出向して欲しいのだ」
「何処にでしょうか」
「大空魔竜隊だ。実は今あちらから要請があったのだ」
「大空魔竜隊・・・・・・ああ、彼等ですか」
 亮はその名を聞いて頷いた。
「亮、知っているのか!?」
 忍がここで彼に尋ねてきた。
「ああ。地球防衛の為に作られた部隊だ。大文字博士を司令にして多くの民間人で構成されている」
「というとゲッターやコンバトラーと同じか」
 雅人がそれを聞いて言った。
「そうだな。似ているといえば似ている」
 亮はそれに応えた。
「だが規模がかなり違う。大空魔竜隊は戦艦まで持っている」
「へえ、そりゃ凄いね」
 沙羅が驚きの声をあげた。
「よく知っているな、司馬」
「実は知り合いがいまして」
 亮はイゴールにそう答えた。
「あそこにいるファン=リーってやつとは以前手合わせしたことがあるんですよ」
「拳法でか」
「あっちはキックボクシングですけれどね。中々腕の立つ奴です」
「そうだったのか。では話が早いな」
「ええ」
「それにマジンガーやゲッターも彼等と一緒にいるらしい。よろしくやってくれ」
「あいつ等もいるのか」
 忍はそれを聞いて呟いた。
「また喧嘩ができるね」
 雅人がそこに突っ込みを入れた。
「こら、二人共」
 ここで葉月が二人を嗜めた。
「私も同行する。勝手な真似は許さないぞ」
「えっ、博士も!?」
「当然だ」
 彼は四人にそう答えた。
「私がいなくてはダンクーガに合体できないだろう」
「確かに」
「それに整備も必要だ。私も同行させてもらうぞ」
「整備なんて俺達だけでできるのになあ」
「全くだぜ」
 雅人と忍はとりわけ不満そうであった。暫くして通信が入った。
「来たか」
 それは大空魔竜の到着を告げる通信であった。イゴールと葉月、そして四人はそれを受けて滑走路に出た。やがてそこに青い巨大な恐竜が姿を現わした。
「でけえな」
 忍達はそれを見て思わずそう呟いた。
「ホワイトベースよりずっと大きいわね」
「ああ」
 その大きさは彼等の予想を超えたものであった。四人はその大きさに言葉を失っていた。
「これから我々はあれに乗って戦うことになる。いいな」
「了解」
 答えはしたがまだ驚きが残っていた。
「では頼んだぞ。思う存分戦って来い」
「長官はどうするんですか?」
「そうそう、あたし達がいなくて大丈夫なの?」
「それは心配するな」
 ここでイゴールの隣に一人の男が出て来た。
「俺とブラックウィング隊がいるからな」
「アラン」
 イゴールの息子でありブラックウィング隊の隊長であるアラン=イゴールが出て来た。
「ここだけじゃなく関東も守ってみせるからな。それは安心してくれ」
「頼めるか」
「ああ」
 亮に答えた。
「任せておけ。こういった時の為の俺達だからな」
「じゃあ宜しくな。また会おうぜ」
「おう」
 忍にも挨拶をした。その間に大空魔竜は着地していた。まるで地震の様に大地が揺れた。
 そして中から人が出て来た。大文字である。
「ようこそ、厚木へ」
 イゴールが前に出て挨拶をする。
「私がこの基地の司令ロス=イゴールです」
「どうも」
 大文字が手を差し出した。
「大空魔竜隊を預かる大文字洋三です」
 イゴールはその手を握った。こうして両者の挨拶は終わった。
「先程お伝えしたことですが」
「ええ、わかっております」
 イゴールはそう返した。
「獣戦機隊ですね。彼等はそちらに合流させます」
「それは有り難い。これで我々の戦力はさらに充実します」
「そちらはこれから何かと大変でしょうからな。こちらも出来る限りの協力をさせてもらいます」
「はい」
 忍達四人と葉月も前に出た。葉月が挨拶をする。
「はじめまして、大文字博士」
「おお、貴方が」
「はい。ダンクーガの設計者である葉月健太郎博士です」
 イゴールが紹介をする。
「以後彼も同行します。宜しくお願いします」
「こちらこそ」
 大文字は紳士的に対応する。非常に落ち着いたその物腰にイゴールは好感を覚えていた。
(彼なら大丈夫だな)
 そう考えていた。
(藤原達も使いこなせることが出来る。三輪長官に任せておいては不安だったが)
 彼もまた三輪には危険なものを感じているのである。だからこそ忍達を基地から外したという側面もあった。事情は複雑であった。
「それでは」
 彼等はここで格納庫に顔を向けた。
「獣戦機隊を収納しましょうか」
「はい」
 忍達は格納庫に向かった。その時だった。基地に警報が鳴り響いた。
「ムッ!?」
 皆それを聞いて顔色を変えた。
「敵か!?」
 その予想は不幸にして的中した。兵士が一人駆けて来た。
「長官、大変です!」
「敵襲か!」
「はい、恐竜帝国が基地に迫って来ております。既に基地から間も無くの場所にまで来ております!」
「ぬうう、何時の間に」
「既にジェガンを数機スクランブルさせていますがとても対処出来ません!至急指示をお願いします!」
「わかった。藤原」
「おうよ」
「君達はすぐに出撃してくれ。そしてダンクーガに合体だ」
「了解」
「我々も戦闘用意だ」
 大文字は後ろにいる大空魔竜のスタッフ達に振り向いた。
「いいな」
「わかりました」
 彼等はそれを受けてすぐに大空魔竜に入る。忍達は既に格納庫へ駆けている。
「俺達の行くぜ」
 アランが父に言った。
「スクランブルの用意はできているんだろ」
「ああ」
 父は息子に対して頷いた。
「じゃあ出る、すぐにな。藤原達が合体するまでの時間稼ぎだ」
「やってくれるか」
「その言葉は適切じゃないな」
 ここでこう答えた。
「いつものことさ。言う必要はないよ」
「・・・・・・そうか」
「そういうことさ。じゃあ出るぜ」
「うむ」
 アランは側にあった車を拾った。そして滑走路にある黒い戦闘機に乗った。そしてすぐに出撃する。後に同じような黒い戦闘機達が続く。
 その間に大空魔竜の中でも動きがあった。こうして恐竜帝国を迎え撃つ準備が整っていた。

 その時恐竜帝国の者達は厚木からすぐの場所に進出していた。
「さて、攻撃準備は整っているな」
 髭を生やした男が後ろに控える鎧の男に問うた。
「ハッ」
 鎧の男は自信に満ちた声でそれに応えた。
「既に整っております、叔父上」
「そうか。ならばよい」
 この髭の男はバット将軍、恐竜帝国の重鎮である。そして鎧の男はザンキ、彼の甥である。
「ではわしはグダに乗る。御前はゼンⅡに乗り最前線の指揮を執れ」
「わかりました」
「すぐに総攻撃にかかる。一気に押し潰す。よいな」
「了解」
 ザンキは叔父に対して敬礼した。そして彼の言葉に従いゼンⅡに乗り込んだ。こうして恐竜帝国の攻撃が開始されたのであった。
 陸と空を埋め尽くさんばかりの数で攻めにかかる。その前にはジェガンが数機いるだけである。
「な、何て数だ・・・・・・」
 彼等はその数を見ただけで戦意を喪失していた。
「とてもかなわないぞ」
「そうだ、無理をするな」 
 ここで通信が入った。
「俺達に任せろ。すぐに後ろに下がるんだ」
 黒い戦闘機がそこにやって来た。ブラックウィングである。
 すぐに恐竜帝国のメカに攻撃を仕掛ける。そして次々に撃破していく。
「いいな。それよりも基地を頼む」
「りょ、了解」
 ジェガンのパイロット達はそれに頷く。そして後方に下がっていった。
「さて、と」
 アランは目の前の敵達に目をやった。
「これはやりがいがあるな。見渡す限り敵しかいない。思う存分やってやるか」
「待ちな」
 だがここで声がした。
「俺達がいるってことを忘れてもらっちゃあ困るぜ」
 甲児の声であった。マジンガーZがそこにいた。
 マジンガーだけではなかった。グレートマジンガーやアフロダイAもいた。そしてガイキングやゲッターもいた。
「アランさん、ここは俺達に任せてくれよ。こいつ等は俺達にとって宿敵だからな」
「おいおい、君達だけでやるつもりか」
「あれっ、悪いんですか?」
「たまには俺にも活躍させてくれ。バルマーとは一緒に戦った仲じゃないか」
「けどいいんですか?こいつ等かなり手強いですよ」
「それは承知しているさ」
 彼は不敵にそう答えた。
「だからこそ戦いがいがある」
「成程」
「そういうことだ。俺も祭りに参加させてもらう」
「了解」
 皆それを認めた。そして同時に攻撃に移った。
「隼人、弁慶、行くぞ!」
「おう」
「わかってるぜ!」
 ゲッターチームはとりわけ気合が入っていた。まずは変形に入った。
「オーーーーープンゲエエエエーーーーーーーット!」
 竜馬が叫ぶ。そして三人はスイッチを押した。
「チェーーーーーンジライガーーーーーースイッチオン!」
 隼人が叫んだ。するとゲッタードラゴンは分裂し三機の戦闘機となった。
 そして空を舞う。それから合体し青いロボとなった。
「行くぞ、二人共!」
 隼人がゲッターを駆る。そしてまずは目の前の敵に右手を突き出す。
「チェーーーンアタック!」
 右手から分銅がついた鎖を発射する。それでギロの首を絡め取った。
「うおおおおおっ!」
 そしてそのまま振り回す。それから空中に放り投げた。
「ガオオオオオンッ!」
 ギロは断末魔の叫びをあげて爆発する。ライガーはその叫びを聞く間のなく次の攻撃に移っていた。
「ライガーミサイル!」
 空中にいるシグを撃つ。一撃で破壊した。恐るべき威力であった。
 そのまま敵の中に突っ込む。そして次々と撃破していく。
 ライガーの後ろに続く形で他のロボットも突っ込む。戦いは一気にゲッター達に傾いていた。
「ぬうう、何という強さだ」
 ザンキはそれを見て歯噛みしていた。
「ザンキ、何をしておるか!」
 ここでバットから通信が入った。
「それでもわしの甥か!武門の家として恥を知れ!」
「ハッ、申し訳ありません」
 彼は表面上はそう謝った。だが内心では舌打ちしていた。
「わしも前線に行く。もう見てはおれん」
「いえ、そこまでは」
「このままでは我が軍の敗北だ。言い訳は許さんぞ」
「わかりました」
 不承不承ながらもそれに従った。
「今すぐ予備兵力を全て投入する。よいな」
「ハッ」
 彼はそれに従った。
「ではそれまで前線を維持致します」
「当然だ。醜態を晒すなよ」
「わかりました」
 ここで通信は一旦切れた。ザンキはそれを確かめてから舌打ちを露にした。
「フン、今に見ておれよ」
 そして彼は戦場に目を移した。
「今にとって代わってやるからな。俺を甘くみるなよ」
 その間にもゲッター達は恐竜帝国のメカを次々と撃破していた。バットの軍が到着する頃には戦線はもう崩壊寸前であった。
「おのれ、ゲッターめ」
 バットはその戦線を見て口を歪めさせた。
「この借り、今から百倍にして返してやろうぞ」
 そしてグダを前に出してきた。
「行け、恐竜帝国の誇り高き戦士達よ!」
 飛行甲板から戦闘機を次々に送り出していく。
「敵を滅するがいい!そして恐竜帝国の誇りを見せてやるのだ!」
 戦闘機はマジンガーやゲッターに襲い掛かる。特にボスボロットを狙っていた。
「こんなくそおっ!」
 ボスはそんな戦闘機を何とか殴り潰そうとする。だが当たらない。
「うう、空が飛べねえと辛いなあ」
「ボス、仕方ないでやんすよ」
「そうそう、ここは諦めて後ろに下がりましょう」
 後ろにいる二人がそう言ってフォローする。
「ちぇっ、じゃあいつも通り補給役に徹するか」
「そうそう」
 こうしてボスボロットは後ろに下がった。その間にも恐竜帝国の戦闘機達がマジンガー達に襲い掛かる。しかし彼等はそれをものともしない。
「やはり手強いな」
 バットはそれを見てさらに顔を顰めさせた。
「ならばこのグダで倒すか」
 グダを最前線に出そうとする。
「ザンキ、御前も来い」
「ハッ」
 ザンキもそれに従う。彼は残った戦力を再編成し攻撃を仕掛けようとする。だがここで新手が来た。
「待たせたな!」
 四機の獣の姿をしたロボットが戦場にやって来た。
「来たか!」
 甲児はそれを見て叫んだ。
「あれがダンクーガか!?」
 ジーグはそれを見て言った。
「ああ。見てな、これから凄いもんがはじまるからよ」
 甲児は楽しそうな声でそう言う。そしてそこで葉月の通信が入った。
「藤原、いいな」
「おう、何時でもいいぜ」
 忍は彼にそう答えた。
「沙羅、雅人、亮、いいか!」
 鷲のマシンに乗る忍が豹、獅子、そして象に声をかけた。
「あたしはいいよ!」
「俺も!」
「すぐにでもいけるぞ!」
 三人はそれに答えた。こうして合体がはじまった。
「データキーワードロック解除」
 忍はイーグルの前のコンピューターのロックを解除した。
「キーワードD・A・N・C・O・U・G・A。ダンクーガ!」
 そして叫んだ。
「うおおおおおおおおおっ!やっっっっっっっってやるぜ!」
 思いきり叫ぶ。そして四機のメカが変形した。
 沙羅の乗るランドクーガーと雅人の乗るランドライガーが獣の姿から足になる。そして亮の乗るビッグモスが重なる。忍の乗るイーグルファイターが頭になる。そしてそれぞれ重なった。
 光がその巨体を包んだ。そしてそこに黒い巨大なロボットが姿を現わした。
「あれがダンクーガか」
 ジーグはその姿を見て呟いた。
「凄い気を感じるな」
「そりゃそうだろ」
 甲児がそれに応えた。
「ダンクーガはあいつ等の闘争心をそのまま力にしているからな。だから気もすげえんだ」
「そうなのか」
「そしてすげえのは気だけじゃねえぜ」
 甲児は言った。
「見てな。俺のマジンガー程じゃねえがとんでもねえ強さだからな」
「それは面白いな」
 ジーグはそれを聞いて笑った。
「だが強さなら俺も負けちゃいねえぜ」
「そうかい。じゃあ見せてくれよ」
「おう」
 ジーグはそれに答えて跳んだ。そして前にいるサキに襲い掛かった。
「うおおおおおおっ!」 
 そしてその胴を掴む。そのまま両手で締めつけた。
「ジークブリーカーーーーーーッ!」
 一気に押し切った。そしてその胴を砕いた。サキは断末魔の叫びをあげることもなく爆発四散した。
「どうだ」
 ジーグは甲児に顔を向けて問うた。
「やるじゃねえか。俺も気合入れなくちゃな」
 彼も奮起した。そして再び戦いに入るのであった。
 ダンクーガが戦場に到着した。まずは剣を取り出した。
「断・空・剣」
 それで敵を切り裂く。斬りつけられた敵が唐竹割りになり爆発する。そしてザンキの乗るゼンⅡに顔を向けてきた。
「あれが敵の指揮官の一人みたいだね」
 沙羅が他のメンバーに対してそう言った。
「らしいな。雰囲気が違う」
 亮がそれに同意する。
「ならすぐにやっちゃおうよ。もう敵はかなり減ってるし」
「雅人の言う通りだな」
 忍がここでこう言った。
「やるぜ、一気にかたをつける」
「了解」
 他の三人がそれに頷いた。ダンクーガはそれを受けて全身に力を溜めた。
「行くぜ、断空砲フォーメーションだ」
「よし!」
 亮が頷く。ダンクーガの支持アームを伸ばしてビッグモスの主砲を出してきた。
「行いいけえええええええっっっっっっ!!」
 忍は絶叫した。そしてその主砲をゼンⅡに向けて放つ。それは一直線に向かった。
「うわっ!」
 あまりもの速さにかわすことはできなかった。ザンキはそれをまともに受けてしまった。
 ゼンⅡは大破した。爆発するのは時間の問題となった。
「おのれっ、覚えておれよっ!」
 ザンキは捨て台詞と共に脱出した。そして何処かへと去って行った。
「フン、情ない奴だ」
 バットは甥の不甲斐無い姿を見て舌打ちした。
「だがまだまだわしがいる。そう簡単にはやられんぞ」
「果たしてそうかな」
 ライガーに乗る隼人がそれを聞いて不敵な笑みを漏らした。
「御前さんの乗るその空母もかなりのダメージを受けているようだがな」
「この程度でか」
 しかしバットはその言葉にも笑っていた。
「わしも恐竜帝国も甘く見られたものよ。哺乳類共にここまでコケにさえるとはな」
「じゃあ違うという証拠を見せてみろ」
 鉄也がグダの上に飛びながら言った。
「御前のその主張が正しいということをな」
「言われずとも」
 バットはそれに対しても余裕の笑みで答えた。
「この戦闘機達で見せてやろうぞ」
 そして搭載している戦闘機を全て出してきた。
「まだだ!」
 その上で砲撃を開始してきた。
「これが貴様等にかわせるかな!」
「戯れ言を」
 しかし隼人の声は冷静なままであった。
「戦闘機程度で俺達の相手が務まると思っているのか!」
「そうだ、あまり俺達を甘く見るんじゃねえぞ」
 弁慶もそれに同意した。
「リョウ、出番だぜ」
 彼は竜馬に対して声をかけた。
「おう」
 竜馬の方もそれに応えた。
「行くぞ隼人、弁慶」
「了解」
「わかってるぜ」
 二人はそれに頷いた。
「行くぞ、チェーーーーーーーンジドラゴンスイッチオン!」
 またゲッターが別れた。そして三機のメカが空中で合体する。そしてゲッタードラゴンとなった。
 ドラゴンはそのままグダに突き進む。しかし戦闘機達がその行く手を阻もうとする。そこにダンクーガが断空砲を放った。
「援護は俺達に任せな!」
「すまない!」
 ダンクーガだけではなかった。他のロボット達もドラゴンを援護する。そしてドラゴンはそのまま順調に突き進んでいった。
「ゲッターの恐ろしさ、貴様にも味あわせてやる」
 竜馬はグダの前に来るとそう呟いた。
「行くぞ・・・・・・」
 全身に力を込めた。
「シャイイイイイイイイイイイインンンンンスパアアアアアアアアアッッッッッッッッククククククク!!!!!」
 ドラゴンの全身を光が包んだ。そして一旦グダから離れると恐るべき速さで突攻に入った。
 グダの直前で離脱する。そして光をぶつけた。
「グワワワアアアアッ!」
 グダは大破した。とりわけ艦橋のダメージは深刻であった。
「このままでは!」
 艦橋にいる士官達がバットに対して言った。
「わかっておる。無念だが」
 彼は歯噛みしながら答えた。
「全軍撤退!一度退き態勢を立て直すぞ!」
「ハッ!」
 こうして恐竜帝国の軍は退いた。こうして厚木での戦いは幕を降ろした。
「どうやら敵さんは逃げたようだな」
 隼人はそれを見て言った。
「ああ。だがこれはほんの小手調べだろうな」
「それはわかっているさ」
 竜馬にそう答えた。
「あの世界でも奴等は強大だった。それはここでも変わらないだろう」
「だろうな。だが負けるわけにはいかない」
「そうそう」
 ここでマックが話に入ってきた。
「ミーが負ける筈がないしね、HAHAHAHAHA」
「そうだな、確かに」 
 隼人は彼の言葉を聞いて苦笑せずにはいられなかった。
「ジャックも貴重な戦力だしな」
 竜馬もであった。何処か彼のその楽天性に救われている一行であった。
 戦いが終わり皆基地に戻った。そして一行はイゴールの前に集まった。
「よくやってくれたな」
「いえ」
 ピートはそれに対し硬い声と態度で返した。
「これが仕事ですから」
「ふむ」
 イゴールはそれを聞いて少し眉を上げた。
「まあ俺は派手に戦えたからそれでいいですけれどね」
「もう、甲児君たら」
 さやかがそれを聞いて呆れた声を出した。
「ははは、そういった言葉がないとな」
 しかしイゴールはここで顔を崩した。
「そうでないと君達らしくない。ピート君もピート君で君達らしいが」
「そういうものですが」
「うむ。何というかな。ロンド=ベルの頃からそうだった」
 その言葉には親しみと懐かしさがあった。
「色々な個性が存在してな。そういったところも君達のいいところだ」
「その中でも俺達が特にすげえと言われてるな」
 ここで忍が言った。
「それは褒め言葉ではないぞ、藤原」
 葉月がそう言って忍を嗜めた。
「君達の素行の悪さは軍の中でもかなり問題になっているからな」
「まともにやって勝てるならそうするさ」
 だが忍はそれに反論した。
「まともにやって勝てねえ奴等だからこうやってるんだ。博士だってそれはわかってるだろう」
「私やイゴール長官はそれでも別にいいのだがな」
「なら問題はねじゃねえか」
「だからといって三輪長官にまで拳を振り上げるのはよくない。もう少しで大変なことになるところだったじゃないか」
「あのおっさんにか」
 サンシローはそれを聞いて驚きの声をあげた。
「何かとんでもない連中みたいだな」
「忍は特にそうだけれどな」
 ここで甲児が囁いた。
「まああいつはちょっと特別だからな。そう割り切ったらいいさ」
「聞こえてるぜ、甲児」
 ここで忍が彼に顔を向けた。
「おめえだって相当なもんじゃねえか」
「あれっ、そうだったっけ」
 甲児はそう言ってとぼけた。
「まあいい」
 きりのいいところでイゴールが言った。
「大文字長官、これからどうされるおつもりですか」
「はい」
 大文字はそれを受けて答えた。
「今後も戦力を拡充させていこうと考えております」
「ではビッグファルコンに行かれてはどうですかな」
「ボルテスですか」
「それだけではありません。今あそこにはコンバトラーチームもおります」
「おお、それはいい」
 大文字はそれを聞いて喜びの声をあげた。
「それではすぐに向かわせて頂きます」
「うん、そうされた方が宜しいかと。では我々はお約束通り獣戦機隊と葉月博士を出向させます」
「はい」
「それではお願いします。今後何かと大変でしょうが」
「何、それは覚悟のうえですよ」
 大文字はイゴールに対してこう言って笑った。
「大空魔竜隊は戦いの為に結成されましたから。ですからそういったお気遣いはいりません」
「そうですか」
「はい。それではこれで。すぐにビッグファルコンに向かわせて頂きます」
「お願いします」
 こうして大空魔竜はビッグファルコンへ向かうのであった。新たな仲間達を迎える為に。

第五話    完



                                    2005・2・3
 
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