魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者
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第75話 帰還して………
「はい、到着〜!」
キリエの声と共に目を開くと見慣れた町並みが………
「って前の世界と変わらないわね」
「そりゃ4年しか経ってないしな」
キリエの呟きに俺が突っ込む。
4年位なら店が潰れて新しい店が建った位しか変化が無いだろう。
「それで、零治さんの家はどこですか?」
「そうだね、僕も大きくなった自分に会ってみたい!」
「私も会ってみたいです」
「我も気になる」
アミタの言葉にマテリアル逹が続く。
ディア逹が急かすが、俺はとても帰りたくない。
携帯で見たが、現在午後11時。
俺が家を出たのが確か夕飯を食べた後だから7時半頃。
約4時間程経っている。
絶対に怒ってるだろうな………
「零治、どっちにしろ帰らなくちゃいけないんだから覚悟を決めろ」
アギトに言われ、俺は意を決してみんなを家に案内することにした………
「レイ?どうしたのですか?」
只今、家の前。
インターホンを鳴らす所まできているのだが、押す勇気が………
「早く押しなさいよ………」
「何で地獄が待っている事が分かってるのに、地獄に向かわなきゃいけないんだ………」
「いいからさっさと押せ!」
ディアにどつかれ、勢いで押してしまった。
『どちら様ですか?』
インターホンから懐かしの星の声が聞こえてくる。
と言ってもシュテルの大人バージョンか。
「あ、オレオレ!!」
『………レイ、話があるのでそこで大人しくしててくださいね』
………冗談でオレオレ詐欺的なノリでいったのが不味かったのだろう。
ドスのある声で俺に忠告し、インターホンを切る星。
「零治、何か凄く怒ってない?」
「零治さん、流石にあの態度は………」
キリエとアミタにも言われ、後悔が募る………
そして………
「アギト、後は頼む!!」
アギトに任せて逃げ出した。
「あっ、こら!!ディア、レヴィ、シュテル確保!!」
「「「了解!!」」」
逃げようとした俺にマテリアルの3人が飛び乗ってきた。
っていうかディア、命令されてるのに気づいているのか?
「止めろ!!俺はまだ廃人になりたくない!!」
「諦めは肝心です」
「男なら覚悟を決めろ!」
「面白そうだから逃げちゃダメだよ〜」
俺に味方は誰もいない………
「お兄ちゃん、アギト、おかえり。随分遅かった………」
玄関のドアを開けてくれたのはキャロだった。
だけど、小さい星逹に乗っかられてる俺を見て、固まってる。
「お姉ちゃん!!お兄ちゃんが女の人と小さいお姉ちゃんを連れてきた!!」
「待ってキャロ!!それはマジで俺の死亡が確定する!!」
だが時すでに遅し。
急いで中にいた4人が玄関にやって来て。
「これは………どういうことですか?」
星が代表して、驚いた顔で聞いてきた。
そんなやり取りがあった後、部屋に無事入れた俺達。
皆はソファーの上に座ったり、テーブルに備え付けられている椅子に座ったりと俺以外何かしら座ってる状態だ、
因みに俺はフローリングの上だ………
しかも正座。俺の膝の上にアギトが正座をしている。
そして、我が家のお母さん、星が立ち上がって俺のまえで仁王立ちになった。
「さて、色々説明してもらいましょうか?小さい私達の事も2人の女性の事も。そして………」
「懐かしく感じるこの子の事も………」
そう言ってユーリを見た。
やはり感じるものがあるのだろう………
「分かった、取り敢えず俺とアギトの身に起こった事を話すな………」
そう言って俺は平行世界で起きた事を説明し始めた………
「ではこの子が砕け得ぬ闇なのですか!?」
「なんと!?」
「こんなに小さい子が僕たちの探していたものだったんだ………」
俺の話を聞いて星逹が驚いてる………って!
「お前ら砕け得ぬ闇の事知ってたのか!?」
「ああ、当たり前だ、それを探していたのだからな。それにディアーチェと言う名前も実は思い出していた」
はぁ!?
「僕と星もだよ。でもね、僕逹はレイに名前を貰ったし、こっちの方が可愛いから3人の内緒にしといたんだ」
そうだったのか………
「名前は良いとして、砕け得ぬ闇はどうしたんだ?コイツらと一緒に居て、お前たちがユーリの事を探していた事を知ったんだけど………」
「私達は普通の生活を気に入っていましたし、人になれた今、大いなる力に興味はなかったんです。」
「ただ、そのまま放置しておくのは不味いと思い、我が紫天の書に残っていた残滓は取り込んでおいた。それが確か3ヶ月位たった頃だったと思う。その中に砕け得ぬ闇があるかどうかは知らないが………」
初めて知ったことばかりなのですけど………
コイツらも結構俺に隠し事してんじゃねえか。
「夜美、セットアップしてくれないか?」
「ああ、構わないが………」
そう言って夜美はセットアップする。
「ユーリ、エグザミアを感じるか?」
「………はい。起動してないので、今の所残滓となっていますが………」
なるほど………
って事は俺達の世界にもユーリは健在していることでいいのかな?
「それで、どうするの?」
家に入ってからずっと静かだったキリエが話かけてきた。
「出来ればこっちの世界のユーリも助けたいと思ってる。一人だけ仲間外れは可哀想だしな………」
「まあ、頼まれてたんだし、それは構わないけど、またこの町で起動するの?」
「いや、スカさん家でやる」
「いや、話通りなら、アジトが持たないから止めてくれ………」
すぐさまフェリアに却下されました………
まあ冗談だったけどさ。
「じゃあトロメイヤは?」
「まあ妥当だろうな」
そこしか無いだろうな………
「で、いつ起動させるつもりなのだ?」
「明日。俺は戦えないから桐谷逹にも協力を………」
「「「「戦えない………?」」」」
「あ………」
ヤバイ、口を滑らせた………
「戦えないとはどういうことでしょうか………?」
「えっとですね………オーラをしまって欲しいのですが、星様………」
尋常じゃない威圧感を出している星。
その威圧感にチビッ子マテリアルとユーリはビビってる。
「いいから答えてくれませんか………?」
「ライ……夜美……」
「答えて………」
「くれるよな………?」
コイツらも星と同じか!?
「キャロ………」
「お兄ちゃん………」
もの凄い涙目で俺に迫ってくる。
これはこれでダメージが………
「零治、正直に話した方がお前の為だぞ」
アギトにすら………
「フェリア、ヘルプ」
「巻き込むな!」
冷たい………
「「「「レイ(お兄ちゃん)?」」」」
「分かった、話す!話します!!」
俺は観念してケガの事を話した………
「なるほど………」
「あの………これは仕方がない事でもありますし、それに傷も完全に治りきって無いので、オシオキは………」
土下座をして星に許しを請う。
そして………
「………まあ今回は許してあげます」
「「「はぁ!?」」」
死刑宣告は無かった。
ちなみに驚いたのは俺とキャロ、フェリア。
2人も許されるとは思わなかったようだ。
(私を救うため………ふふっ)
(嬉しいな………僕を救うために何て………)
(なぜ我にはそういう話が無いのだ………!!)
星とライは嬉しそうな顔をしてるけど、夜美だけは凄く残念そうな顔をしていた。
「えっと、本当にいいの?」
「いいですよ。それにしても………」
そう言ってシュテルを見る星。
「懐かしいですね………」
「そうだね。僕逹も小さいときはこんな感じだったんだね〜」
「我は偉そうだな………」
「偉そうではなく偉いのだ!!我は王ぞ!!」
胸を張って答えるディア。
しかしそれを見た夜美は可哀想な子を見る目でディアを見た。
「お前………そのキャラを続けても得る物は何も無いぞ………」
「別にキャラなど作っておらん!!我は王で偉いのだぞ!!」
「そうだ!!王様をバカにしちゃいけないんだぞ!!」
「いや、それが常識から外れてると言いたいのだが………」
まさかレヴィが庇ってくるとは思ってなかったのか、戸惑う夜美。
「レヴィ、大きい王様はディアの言葉遣いを指摘してるのでないのでしょうか?」
「えっ、でも王様なんだし良いんじゃない?」
「それが常識から外れていると言うのでしょう。取り敢えず王、偉くても態度を変えるべきかと私は思います」
「むう………」
シュテルに言われて、考え込むディア。
「だが、いきなり変えるのは………」
「分かるぞ、我もかなり苦労した………本やドラマなどを見て、よく勉強したものだ………」
なるほど、夜美の本好きやドラマ好きはここから来ているんだな。
「そうだ!みなさん何か食べますか?夕飯の残りは………あっ、そう言えば翠屋のケーキがまだあったはず………」
「ケーキ!?レイ!ケーキってパーティであったやつだよね!?」
「あ、ああそうだけど………」
「えっと星だよね?僕食べたい!!」
「わ、私も………」
ユーリもおずおずと手を上げる。
「あっ、私もお願いします!」
「ちょっと、お姉ちゃん………」
「ふふ、分かりました、準備するので。ちょっと待ってください」
そう言って星は笑顔でリビングへ向かった。
「ちょっと零治、のんびりだけどいいの?」
「いいのって………もうすぐ0時だぞ?今日はもう休んで、明日だな」
「………まあ、零治がそういうのなら構わないけど………」
だって今からなんてとても無理だぞ………
あっそうだ………
「アリサに明日休むって連絡と、桐谷とスカさんにも連絡しないとな………」
取り敢えず俺は、今言ったメンバーにメールを送ることにした………
アリサ………
『明日有栖家休み。GOODLUCK!』
桐谷………
『明日、急用が出来たから付き合え。ちなみに加奈も連れてこい』
スカさん………
『ちょっと協力して』
「これでよし」
スカさんには別の世界(指定あり)からでも簡単に連絡出来るようにしてもらった。
これで通信手段が家にある通信器だけでなく、外に出ても連絡出来るようになった。
今日はメンドイから携帯で連絡してるけど。
俺は携帯を閉じ、星が用意してくれたお茶に口を付ける。
う〜ん、やっぱり夜は番茶だな。
星逹、大人のマテリアルはチビッ子マテリアルと話をしている。
ユーリはキャロとアギトと。
アミタとキリエはフェリアと話をしているようだ。
そんな時、返信メールが帰ってきた。
アリサ………
『何なめた事言ってるのよ!!それに私が頼んだの買ってきたの?文化祭まで後3日なのよ!!いいからき・な・さ・い!!』
「拒否権無しかよ………」
文面からかなり頭に来てるのが分かる。
「おっ、こんどは桐谷か」
桐谷………
『ムリ』
「ふ・ざ・け・ん・な!!」
携帯に叫んだので、みんなびっくりして一斉に俺を見た。
「あっ、すいません………」
少し気まずくなりながらもスカさんから来たメールを見る。
『何を手伝えばいいんだい?』
流石はスカさん。
前の2人とは違うな。
ってか………
「アリサ以外には電話の方が良かったんじゃないか?」
流石に夜に電話は迷惑と考えて、メールにしたけど、スカさんなんかは徹夜が基本だし、桐谷もまだ寝てないだろうし………
まあアリサには流石に迷惑だよな。
「となれば先ずは桐谷に電話しないとな………」
俺は桐谷に電話をかけた………
「ったく………」
俺は携帯をしまい、飲みかけのコーヒーに口をつけた。
「ウェンディ!!ゲーム代われ!!」
「いやっス!!今度こそ勝てる気がするっス!」
「えー!?今度は私って言ってたじゃない!」
「セイン、姉ならこういう時は妹に譲るものっスよ」
「いや、敢えてここは私に………」
「「「黙れニート!!」」」
「がはっ!?」
俺のデバイスレミエルが吐血したように倒れる。
まああながち間違えでもないからフォローもしないけど………
「桐谷様、コーヒーのおかわりどうですか?」
「ありがとう、エタナド」
エタナドに再びコーヒーを入れてもらう。
しかしいい加減寝かせるかアイツら………
そんな時、電話がなった。
「加奈、電話出てくれ」
「了解。ふぁ………」
あくびをしながら電話に出る加奈。
「はい、加藤ですけど………って何だ兄さんか。何で家電に?えっ桐谷?分かった」
電話は零治か………
ってことは結構真面目な話だったのか?
「はい。兄さん、何だか大事な話っぽいよ」
「ああ」
俺は受話器を受け取り、電話に出た。
「どうした?何だか真面目な話みたいだから出たんだが………」
『実は………』
「お前も無茶をするな………」
『だってほっとけないだろ。あっちの世界だからって星逹なんだぜ』
零治の話の内容は平行世界の話だった。アイツはよくもまあトラブルに巻き込まれるな………
しかも他人の為に死にかけて、そんで大怪我で無茶をして、俺に頼ってきてる。
コイツはいつまで経ってもお節介で後先考えないで行動する………
だけどお前のそういう所が俺は羨ましかったりする。
俺がお前の立場だったら真っ直ぐお前の様な行動に移せるか………
それとも彼女達が大事だからこそ反応出来たのか………
いずれにせよ手伝ってやるべきだな。
「まあ事情は分かった。加奈にも話しておく。恐らく協力してくれると思う」
『ありがとう。一応スカさんにも協力を仰ぐつもりだ』
「だったらセイン逹はどうする?」
『学校で良いんじゃないか?実戦経験も無いって言ってたし、戦闘は激化すると思うから………』
「了解した」
『じゃあ、明日は学校休みで頼む。午後辺り俺の家まで来てくれ』
「分かった」
電話を切り、受話器を戻した。
さて、明日はかなりキツくなりそうだな………
「加奈」
「何?」
俺は手招きして加奈を呼んだ。
「実はな………」
「兄さんは何でそんな目に遭うのかしら………」
「まあ零治だからな………」
「納得」
納得するのか………
「分かったわ。明日学校に休みの連絡入れないとね」
「私達も行くっス!」
「私も行きたい!」
「私も!」
いつの間にかこっちに来ていたダメっ子シスターズが話を聞いていた様だ。
「………結構危険だぞ?」
そう聞いたが3人の表情は変わらない。
しかし………
いや、でもコイツらもいれば役に立つかもな………
「………分かった。何かの役に立つかもしれないし、連れていくよ」
「「「やったー!!」」」
「………本当に危険だって分かってるのか?っとそうだ、レミエル、お前も連れていくからな」
「了解〜」
ゲームをしながら答えるレミエル。
不安だなコイツら………
「よし、桐谷逹も了承を得たし、スカさん逹も来ることになった。これで最低限出来ることはしたな」
携帯を閉じ、ホッと一息。
「どうでした?」
「ああ、何とか協力を仰げたよ」
アミタに聞かれ、そう答えると安心したように一息吐いた。
やっぱり過酷な事になると分かってるんだな。
「ドクターもOKと?」
「ああ。むしろ興味津々だったよ」
「そうか」
そう言ってお茶を飲むフェリア。
「しかし………」
そう呟いて俺はテレビの前を見る。
「行くよレヴィ!!」
「うん、任せて!!」
「我等も行くぞ!!」
「夜美こそ我の足を引っ張るでないぞ!!」
ゲームでチームに別れ盛り上がってる。
ちなみに星とシュテルペアは順番がまだなのか観戦してる。
「ユーリ、どうですか?」
「とっても面白いです!!」
「そうか、良かったなキャロ」
「はい!!」
ユーリとキャロをアギトがお姉さんの様に見ている。
ユーリはキャロと年齢も近い?のか話が合うようだ。
まあそれはチビッ子マテリアルにも言えることだが………
「そんでもってアイツは………」
俺はキリエを見て、溜め息を吐いた。
「これ美味しいんだもん………」
さっき、ケーキを食べたばかりなのに今度は翠屋特製クッキーに夢中になっているキリエ。
「お前な、夜食ってばかりいると太るぞ………」
そう言うと、頭をつかまれ、
「………女の子には分かってても口にしちゃいけない言葉があることを教えてあげましょうか?」
そう言って思いっきり力を入れてきた。
「いてててててててて!!!離してくれ、頭が割れる!!」
「あら?割れたほうが頭が良くなるんじゃない?」
「なるか!!」
「レイ〜!!レイも一緒にゲームやろうよ〜」
「そうだよ!レイもゲームやろ!!」
アイアンクロー中にも関わらず、両腕にしがみついてくるライとレヴィ。
「零治!!いつの間にかキャロとユーリが寝ちまった!!」
アギトが慌てて俺の方にやって来る。
「何逃げようとしてるのよ!まだ話の途中よ!!」
更に力を加えてくるキリエ。
「「レイ〜」」
「「零治!!」」
「アミタ………フェリア………」
藁にすがる思いで2人に助けを求めたが………
「「GOODLUCK………」」
幸運を祈られた………
誰か助けて………
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