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スーパーロボット大戦OGAnother

作者:TACHIBANA
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第一部「数奇なる騎士」
  第04話「拳と杭」

 
前書き
第4話です。
サブタイでお分かりの通り、例のアレです。
なので、まともな出番のあるオリキャラはライトくらいですwww
 

 
DC戦争が、一応の収束をみせ、約一週間後、ハガネが伊豆基地へと帰航した。
「ふぃ~、着いた着いた。何だか国に帰ったみたいだな。」
青い軍服を着た少年が言う。
「帰ってきたも何も、母国だろうに。」
青髪の男がそれに対して言った。
リュウセイ・ダテと、イルムガルト・カザハラ。それぞれ、R-1とグルンガスト(1号機)のパイロットだ。
「次の作戦までは少しあるから、それまでは羽を伸ばせそうだな。」
「そうね。町にでもいきましょ♪」
ジャーダ・ベルネディと、ガーネット・サンディもそれに続く。
「ん?なんだ、このヒュッケバイン?」
リュウセイが、ハンガーでとまっているグランバインに気が付く。
「本当だ。データにあったMk-Ⅱにも少し似てる…。」
リョウト・ヒカワも、リュウセイとともにグランバインに近づく。
「でもなんでここに…、新型かな?」
「…008の改修機だ。」
ライディース・F・ブランシュタインが後ろから現れる。
「言われてみりゃあ、確かに見たことある面構えだね、こいつは。」
イルムも続く。
「でも待ってください。008Rは破棄されて、Lも封印されたはずじゃ…」
リョウトが疑問をかける。
「記録では、な。実際、こうなっていたとは俺も分からなかった。」
ライはうつ向き気味にそう言った。
そこへ…
「…」
ライトが歩いてきた。
「ん、どうしたんだそこの君?」
イルムがライトに尋ねる。
「連邦軍の軍服を着ているけど…君は軍人なのかい?」
リョウトも重ねる。
「自分は、ライトフォード・シラヌイ曹長であります。このたびの作戦成功、おめでとうございます。戦いの火種が一つ消えたことにも、重ねて感謝いたします。」
ライトが、機械のように言った。
「お、おう、ご丁寧にどうも…」
リュウセイは困惑気味に返した。
「それでライトフォード曹長、先ほどの質問の答えがまだだが…」
皆困惑している中、ライが話を戻そうともう一度質問した。
「ライトで構いません。それと失礼、コックピットの調整があるので、そこのリフトで上がりたいのですが…」
ライトが、やはり無機質に言う。
「コックピットの?それはパイロットの仕事だろうに。随分と物ぐさなんだな、コイツのパイロットは。」
イルムが皮肉気味に言う。
「…ですから、その物ぐさなパイロットが、パイロットの仕事をしようとしているのです。」
ライトが言った。
「……え?」
リュウセイが素っ頓狂な声を上げる。
「今、なんと?」
イルムも思わず引き返した。
「…この機体のパイロットは、自分だと言ったのです。」
ライトが、流石にため息混じりに言った。
「「な、なんだってぇぇぇ!?」」
イルムとリュウセイの叫びが、格納庫に木霊した。
「何を驚いている。ラトゥーニという前例があるだろうに…」
ライもまた、ため息混じりに言った。









***




数時間後、個人用の応接室。
ライがライトに説明を求めた所、アダムが現れ、何かを察したようにここへライを連れてきた。
そして、彼がEOTI機関から持ち出したというグランバインの資料を、ライに全て見せた。
「それでは、やはりこれは…」
「そう、このレポートの通り、ブラックホールエンジンには、かろうじて火は残っていてね、胴体と頭部の修復、コックピットから何から改装工事、馬鹿でかいテスラ・ドライヴの搭載、Mk-Ⅱからのパーツ流用を経て、ようやく完成したのがこのグランバインだ。」
アダムが、自作のレポートを見せながらライに言う。
「しかしいいのですか?このような極秘資料を自分に…」
ライが尋ねてみる。
「構わないさ。もうプロジェクトはMk-Ⅱに移ったし、テストパイロットの君には伝えても問題はないと判断したまでだよ。…君の左腕のことが分かっているなら、尚更。」
「…」
アダムの言葉で、ライは黙り込んだ。









***








「模擬戦?」
ブリーフィングルームで、リュウセイが言った。
「ああ、宇宙、正しくはリクセントからATXチームがこの伊豆にやってくる。そこで、お前のR-1とライのR-2、そしてグルンガスト弐式の性能チェックも兼ねて、ATX各機と戦ってもらう。」
青髪で長髪の男、イングラム・プリスケン少佐が簡単に説明する。
「少佐、グルンガスト弐式には誰を?」
ライが説明を求める。
「詳しいことは追って説明する。模擬戦までは休息としておくから、それまでに各自機体のチェックをしておけ。」
イングラムが言った。
「…」
ライは、まだ納得のいかないようだった。






***








「じゃあ、ブラックホールエンジンは…」
イルムが顔をゆがめる。
「はい、取り除かれてはいません。最初に乗ったときも、最悪の場合機体そのものが消滅する爆発が起きると…」
ライトが言う。
「そうか…俺の経験からの推測じゃ、ブラックホールキャノン一発もたんな…」
イルムは、複雑な表情で言う。
「ライトフォード・シラヌイ曹長。」
そこへ、イングラムが現れる。
「すまんが、君に頼みがある。明後日にSRXチームとATXチームで模擬戦をすることになった。そこで、君に記録を頼みたいのだが。」
イングラムが言った。
「自分は構いませんが、なぜ?」
ライトが尋ねた。
「カイ少佐とアダム中尉に聞いたところ、君達アマテラス小隊は、訓練後に戦闘データをまとめて提出しているそうだな。そこで、今回の模擬戦のデータをまとめ、モーションパターンに役立ててほしい。アダム中尉にも許可は取ってある。」
イングラムが言った。
「そういうことでしたら、喜んでお引き受けしましょう。」
ライトが言った。
喜んで、と言っておきながら、いつもの様に無機質に。












***

















三日後

「…で、ライトさんよ、みせたい者があるっつって、ついてきてみてなんだこりゃあ?」
タカヤが不満そうに言う。
「すまんな、だが、映像からダイレクトにデータ還元するには、一人では無理だからな…」
ライトは、無表情のまま、しかし申し訳なさそうに言った。
「それで、何の準備もなしに集めたわけじゃないわよね?」
ミナミが言う。
「無論だ。基地屋上にカメラとコンピュータの類はセットしてある。後は、開始時間の1030まで微調整をするだけでいい。」
ライトが真顔で言った。
「相変わらず用意いいね…。もしかして一人で?」
ナナが微笑みながら言った。
「いや、イルム中尉とリュウセイ曹長が運び出し、コンピュータの調整を、ラトゥーニという人が手伝ってくれた。」
ライトが説明を入れた。
「わりぃ、誰も知らないんだが…」
タカヤが苦笑いしながら言う。
「全員ハガネの乗組員だからな。」
ライトが、今度は目を瞑っていった。
「それもそうね。…1010、そろそろいきましょ。」
ミナミが言った









数分後、屋上に着くとアダムが待っていた。
「アダム中尉」
ライトがアダムを見つけて言った。
「よし、皆来たな。」
アダムが言う。
「どうして中尉まで?」
タカヤが尋ねる。
「興味本位だ。それ以上はないよ。」
アダムはカメラの向けられた方向を見る。
そこには、既にパイロットの搭乗が済んだR-1、R-2、弐式の姿があった。
「…時間か。模擬戦そのものの記録は本部車でもやっているから、目ぼしい動きやパターンを記録していってくれ。」
ライトが言うと、輸送機からヒュッケバインMk-Ⅱ、ヴァイスリッター、そしてアルトアイゼンが姿を現した。
それぞれ、弐式、R-2、R-1に狙いを定めたようだ。
そこへ、イングラムから無線が入る。
「ライトフォードです。」
ライトが応対する。
「首尾はどうか。」
イングラムが問う。
「滞りなく。」
ライトが戦況を見守りながら言う。
その先では…





「わお、やるじゃない。」
ヴァイスリッターのパイロット、エクセレン・ブロウニングが言う。
「押されているのか…」
ライが呟く。
「んっふふ~、そぉれっ!」
「させん!」
R-2のマグナビームライフルと、ヴァイスリッターのオクスタンランチャーが互いに火を噴く。
「射撃戦は不利…ならば!」
ライはR-2を急浮上させると、ヴァイスリッターに寄せ、ビームチャクラムを射出した。
「あら、見かけによらず動けるのねぇ…でもね!」
エクセレンは少し驚いたようだったが、それでも余裕を崩さない。
ヴァイスリッターはオクスタンランチャーを手放して囮にすると、機体を急速降下させ、更に後ろに退く。
「何っ!?」
ヴァイスリッターを捕らえたはずのビームチャクラムはオクスタンランチャーに巻きつき、無意識に巻き戻したチャクラムごとオクスタンランチャー(銃身)が直撃し、地面へ落下してしまった。



「え…、出力が上がらない?どうして!?」
グルンガスト弐式のパイロット、クスハ・ミズハが慄く。
「撃って来ないのか…?ならこっちから!」
ヒュッケバインMk-Ⅱのパイロット、ブルックリン・ラックフィールド(ブリット)が様子見にフォトンライフルを発射した。
「きゃああっ!?」
フォトンライフルの光子弾は弐式の胸部に直撃し、大きな傷を作った。
(おかしい…、反撃はおろか動いても来ない…何かあったのか?)
ブリットはこの状況に違和感を覚える。
「そんな!?動かない!」
クスハは激しく狼狽した。
「(…たとえ訓練でも、こんな戦いは…)Mk-Ⅱ、異常発生。戦闘続行は不可能!」
ブリットは、通信でオペレーターに告げた。


「ライト曹長、Mk-Ⅱ、弐式の模擬戦は中止だ。引き続きR-1とアルトアイゼン、R-2とヴァイスリッターの模擬戦の記録を頼む。」
イングラムからの通信が入る。
「了解、引き続き続行します。」
ライトが返し、通信がきれた。
「異常発生、ね。」
アダムが微笑みながら言う。
「嘘でしょうね。」
ライトが返した。
「見たかよ、ヴァイスリッターの動き!とりあえずデータ化させてもらうぜ!」
タカヤが目を輝かせながら言う。
「確かにいい動きだ。武装を囮に急速離脱とはなかなか思い切った戦法だ。」
アダムも感嘆する。
「あのモーション、スラスターか何か付ければゲシュペンストでもできるわよ。」
ミナミもうなづく。
「見ろ、動きがあったぞ。」
そういってライトはモニターを指差した。



「間合いをとるのが甘かったようだな。」
キョウスケはそう言いながらヒートホーンを構え、突撃する。
「ッ!…あ、あぶねぇ…」
リュウセイは間一髪でそれをかわすも、ブーステッドライフルを落としてしまう。
「まだだッ!G・リボルヴァー!」
「来るか…!」
動きを察知したキョウスケは、三連マシンキャノンをセットアップする。
「ランダムシューッ!」
「何…!?」
リュウセイは、G・リボルヴァーを乱射し、アルトにダメージを与え動きを止めた。
「乱射とは…やってくれる…!」
キョウスケが呟く。
そこへ
「今だ!いくぜR-1!」
リュウセイはそういって自らアルト好みの射程に飛び込む
(来たか、ならば次の一撃で決めるまで!!)
キョウスケもまた、それに応えるかのように構えた。




「一撃必殺!!T-LINKナッコォォォッ!!!」
R-1の放った「拳」、T-LINKナックルはアルトアイゼンの左腕を突き、その肩ごと吹き飛ばした。
(左腕を持っていかれたか…、だがもう片方残っていれば…十分だ!)
アルトは瞬時に体勢を立て直し、右腕の「杭」、リボルビングステークを構え
「受け取れ!」
R-1を撃った。
「これがこちらのカードだ!!」
そして、間髪いれずにクレイモアを撃ち込んだ。



「がああああっ!!」
クレイモアの衝撃で吹き飛ばされたR-1は地面に叩きつけられ機能停止、アルトもまた活動限界によって力尽きるように膝をついた。



「「「…」」」
「すごいものだな…」
ライト「ええ、データ変換も追いつくので手一杯です。」
モニター越しとはいえ、この凄まじい戦況を見てタカヤ、ナナ、ミナミは言葉を失い、ライトとアダムも感嘆するばかりだった。

***






「よう、そっちはどうだった?」
二時間後、リュウセイがライトに声をかけた。
「とてもいいデータが取れました。協力に感謝します。」
ライトが言う。
「そうか、で、なんか面白いパターンはあったか?」
リュウセイが尋ねた。
「はい、まずR-1からの検出データから、G・リボルヴァーの乱射、これは一定パターンの攻め合いの中で、相手の間合いを崩すことが可能です。」
「ほんとか!?このデータにもパターンは?」
リュウセイは目を輝かせた。
「無論です。他にも大量にとれましたが、今お渡ししたデータには、アダム中尉からの採用を受けたものが全て入れてあります。」
「マジでか!よし、早速部屋に戻ってみてみるぜ!」
そういうとリュウセイは、足早に去っていった。
「いいのか、自分達でとったデータを渡してしまって?」
ライトの後ろから、赤い服を着た男が現れる。
「あなたはアルトアイゼンの…」
「キョウスケ・ナンブだ。よろしく頼む。」
キョウスケは右手を差し出す。
「ライトフォード・シラヌイ曹長であります。以後お見知りおきを。」
ライトも右手で応えた。
「データに関しては、イングラム少佐の命令でSRXチーム全員に渡すことになっていましたので、ご心配なく。」
ライトは無機質に応えた。
「あのいけすかん士官か。だが、それならいい。」
キョウスケは、イングラムの名前が出た途端、一瞬怪訝そうな顔をしたが、すぐに表情を戻していった。
「おーいライトぉ!インストールしに行こうぜ!」
遠くでタカヤがライトを呼んだ。
「では、おれはこれで。」
キョウスケが右手を上げた。
「もしよろしければ、先ほどのデータ、コピーしてお渡ししますが」
ライトが言った。
「いやいい。自分の戦い方は、自分で学ばなければ意味がない。」
キョウスケは振り返りながら言う。
「そうですか。では、また機会があれば。」
ライトも、挨拶してつま先を返すと、タカヤのほうへ歩いていった。


「…(あの違和感はなんだ…。あの少年兵…まるでロボットだ。)」
キョウスケは、歩きながらそんな事を考えていた。



***
 
 

 
後書き
第4話、ご覧いただきありがとうございました。
今回から何回かに分けてオリキャラ、オリメカの解説をしていきます。
文字数の都合により、一回につき一人もしくは一機とさせていただきます。ご了承ください。

・RTX-008RtypeGC
グランバイン(grand=地面、『地に伏した凶鳥』)
種別 PT
全高 19.8m
重量 79.4t
動力 ブラックホールエンジン、プラズマ・ジェネレーター
飛行能力 テスラ・ドライヴ
固定武装 頭部バルカン チャクラムシューター Gバスターレールガン

・月面での起動実験に失敗し、破棄されるはずだったヒュッケバイン008Rを、EOTI機関が極秘裏に回収し、修復したもの。
欠損の激しい四肢、装甲を、全て開発中のMK-Ⅱから流用した。また背中の大型バックパックに換装しプラズマリアクターと中型テスラ・ドライヴを搭載させた、ある意味試験飛行PTといえる機体。
また、Gインパクトキャノンの機体固定型といえる、Gバスターレールガンも装備している。
しかし、大型バックパックのせいで重量が+19.0tも増加しているうえ、機体との比率が極端に悪いため、姿勢制御が難しく、機動性はヒュッケバインに劣っている。
また、作業中に危険が生じ、取り外しが不可能だったブラックホールエンジンが機体に残留しているため、動力に関しても安定性は悪い。

各部
頭部・(イメージとしては)バイザーのないエクスバイン
胴体・ヒュッケバイン008Rのまま
四肢・ヒュッケバインMk-Ⅱの最初期のもの
背中・大型バックパック

次回をお楽しみに! 
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