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インフィニット・ストラトス~黒き守護者~

作者:eibro
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楯無は痴女

 簪さんが倒れて数分してから目を覚ました。

「……大丈夫か……?」
「……うん。なんとか……」

 打鉄弐式を待機状態にするためにずっとこの場にいた。ちゃんと俺の服を被せているから風は引いてはいないと思うが。

「……凄いね」
「? 何が?」
「……だって、ISを一人で造ったから……」

 それは賞賛だけだった。

「ただ、それだけだよ。俺はISを造れた。それだけだ」

 そう言って俺は彼女を抱えて整備室を出る。

「どうせなら、超高速で移動できる宇宙船を造りたかった」
「……どうして?」
「だって―――唯一ISを超えられる可能性だから」
「ISを、超えたいの?」
「当たり前だろ」

 何を好き好んで兵器を造らないといけないんだよと心の中で思った。





 ■■■





 簪さんを部屋に送って自分の部屋に戻ると、

『1025室に来てくれ』

 そんな立て札がかかっていた。
 俺はそれを無視して鍵を開けて中に入ると、

「………え?」

 家具や着替えが全てなかった。

『どういうことよ、これは!』
「んなこと知るかよ!」

 俺とシヴァはすぐに寮監室に向かった―――が、誰もいない。
 
『ねぇ、さっきの立て札の通りに1025室に行ってみましょうよ』
「それもそうだな」

 そして1025室に向かった。

(それにしても変だな。1025室っていったら一夏の部屋だ。あいつが何の用だ?)

 それに………まさか、な。
 ある仮説が立ったために俺はシヴァにあることを頼んで準備してもらった。
 そして1025室に着いて、俺はノックする。

『……どうぞ』

 中からどこかやる気がない一夏の声が聞こえた。
 俺は開けると、

「お帰りなさい。ご飯にします? お風呂にします? それともわ・た・し?」

 ―――パシャパシャ……バタン

「撮れたな」
『予想通りだったわね』

 ある意味怖いな。
 それにしても裸エプロンは予想外だった。

『それにしても、まさか楯無は痴女だったなんてね』
「これを織斑先生に報告したら大変だろうな。あの人、ブラコンだから」
『それよりも、またこの部屋に入らないといけないのよね?』
「面倒だな」

 そしてもう一度開けると、

「お帰り。私にします? 私にします? それとも、わ・た・し?」
「選択肢ねえだろうが。んで、何でお前がここにいて、俺の荷物がここにあるんだ?」
「それは私とあなたがここに移動するからよ」
「百歩譲って俺がここの部屋に移動するのは良しとしよう。何でお前までここに来なくちゃならない」
「生徒会長権限」

 俺はそれを聞いて吐き気がした。

「それでちょっと話を聞いてくれると助かるかなぁ」

 そしてその目は少し真面目だった。

(どう思う)
『聞いてみる価値はあると思いますよ』

 セバスがそう言うので俺は少しばかり付き合ってやることにした。

「まぁ、ある程度は予想はつくが、いいだろう」

 そう言って俺は着替えから一枚のシャツを投げ渡す。

「これ着るのが条件な」
「いいわよ」

 俺たちは荷物を持って自分の部屋に移動した。

「………んで、俺たちの遺伝子が目的か? ロシア代表」
「あら、私のことを調べたのね」
「まぁな。……それで、どうなんだ?」
「ハズレよ」
「………だったら何で俺まで巻き込むんだ。どうせ外部から俺たちを狙う奴でも現れたんだろ」
「あら、鋭いのね。まぁ全容までは言えないけどね」
「だったらお断りだな」

 そして俺は予め持ってきていた荷物をセットし直す。

「己の力を過信しすぎると、いつかその身を滅ぼすことになるわよ」
「安心しろ。それはない。俺はあの天災と違ってある程度の弁えは持っている」
『安心しなさい。私もいるから』

 そう言ってシヴァはさも当然のように俺の隣に寝る。

「………はいはい、わかったわよ。それじゃあね」

 楯無は諦めたのか、そのまま部屋を出た。





 ■■■





「………はぁ」

 祐人の部屋から出た楯無はため息を吐きながら廊下を歩いていた。

「やっぱりダメでしたか?」

 近くで控えていた虚が姿を現し、楯無と並んで歩きだした。

「ええ。必要ないって言われてね。………昔は素直だったのに」
「環境によって性格が変わったのでしょう。それに―――どうやら記憶がないようですね」
「……そう、みたいね」

 楯無が悲しそうな顔をしながら途中で虚と別れ、一夏の部屋に向かった。

「………どうしてよ、バカ祐人」 
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