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食堂の女の子は実は

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第二章

「私は二十歳だぞ」
「えっ、嘘だろ」
「嘘じゃないぞ、というか君達八条学園高等部の生徒だな」
 金本と友人を見て言ってきた。
「そうだな」
「そうですが」
 金本は店員が自分は二十歳と言ったので敬語で応えた。
「貴女は」
「君達の先輩であの学校を出て」
 そうしてというのだ。
「今は八条大学に通っているぞ」
「そうなんですか」
「何なら学生証を見せるぞ」
「いえ、いいです」
 店員の言葉を信じて返事をした。
「それは」
「いいんだな」
「はい、ですがそれで今はですか」
「講義のない時間に働いているんだ」
「そうされていますか」
「そうだぞ、ちなみに僕の名前は伊東明日香」
 胸を張って名乗った。
「社会学部だ、宜しくな」
「こちらこそ」
 ここで金本も友人も名乗った、それから注文をしてだった。
 金本は自分の海老フライ定食を食べつつだ、カレーライスを食べている友人に対して神妙な顔で言った。
「いや、まさかな」
「小学生と思ったらな」
「大学生なんてな、しかしな」  
 海老フライでご飯を食べつつ言った。
「考えてみれば子供を学校に通わせないでな」
「店で働かせてたらな」
「すぐに誰かが通報して」
 そうしてというのだ。
「警察来るな」
「そうだろ」 
 箸を使っている金本にスプーンでカレーを食べつつ応えた。
「絶対にな」
「そうだよな」
「だからそれはないさ」
「常識で考えたらな」
「ああ、ただな」 
 友人はそれでもと話した。
「人は外見で年齢もな」
「わからないか」
「そうなんだよ」
「これはな」
「しかも常識で考えたらな」
「ああ、子供がこの時間にお店にいないな」
 平日の昼間にというのだ。
「働くなんてな」
「そんな堂々と学校に通っていないなんてな」
「ないな」
「ああ、だから驚くよりもな」
「まず考えることだな」
「常識も踏まえて」
「それでな、しかしな」
 ここで友人は金本にこうも言った。
「この店本当に量多いな」
「そのカレー三人前あるぞ」
「それでお前はご飯お代り自由だ」
「これは食いでがあるな」
「全くだな」
「いい店だよ」 
 二人で話した、そしてだった。
 金本も友人もたらふく食べた、そして帰る時にカウンターで勘定を取った伊東に笑顔でこう言われたのだった。
「二人共よく食べて私みたいに大きくなれよ」
「いや、大きいって」
「心が大きくなれよ」
「それならわかります」
 こう伊東に返してだった。
 金本は友人と共に学校に帰った、そして五限目は満腹で眠くなり居眠りするよりはとなって教科書に落書きをしたのだった。


食堂の女の子は実は   完


                    2025・2・20 
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