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食堂の女の子は実は

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第一章

               食堂の女の子は実は
 高校生の金本真理夫、茶色にしたショートヘアですっきりして先が尖った顎を持つ鋭い目に一七三位の痩せた体格で黒い詰襟の制服の彼は友人にその食堂を案内してもらった。
「ここだよ」
「安くて美味いんだな」
「ああ、しかもな」
 友人はさらに話した。
「ご飯食い放題だ」
「気前のいい店だな」
「今何かと辛いがな」
「何もかもが高いからな」
「そうだよな、けれどな」
「そのお店はか」
「早い安い美味いでな」
 そうであってというのだ。
「しかも飯食い放題だよ」
「いい店だな」
「だから今から行くぞ」
「それで飯食うか」
「そうしような、お前兎に角腹一杯食いたいよな」
「育ち盛りでしかも部活やってるだろ」
 金本はそれでと言った。
「それもレスリングな」
「そうだよな」
「八条学園のレスリング部なんてな」
 自分達の学校のというのだ。
「何処かの海軍並にだよ」
「月月火水木金金だな」
「休日はあってもな」
「練習ハードだな」
「だからな」
 それでというのだ。
「もう腹が減って仕方ないんだよ」
「家で腹一杯食ってもだな」
「昼は学校で食っておやつもでな」 
 それでもというのだ。
「外に出ても腹が減ってな」
「安くて量の多い店だな」
「しかも美味くてな」
「それならだよ」
 友人は話した。
「こっちも紹介するな」
「ああ、その店をな」
「今からな」
「宜しくな」
 こう話してだ、そしてだった。
 金本はその食堂に案内してもらった、店は彼等の通っている学園のすぐ近くにあった。そこに入るとだ。
 昔ながらの昭和の趣のある店の中で多くのサラリーマンや肉体労働者やOLの客がいた、金本はその客達の中に友人と入ってだ。
 空いている席に座った、そして店員が来たので注文しようとしたが。
 その店員を見てだ、彼は驚いて言った。
「おい、この娘」
「小さいだろ」
「ああ、子供だろ」
 こう友人に言った。
「小学生だろ、今平日だぞ」
「平日だとな」
「学校に行かないと駄目だろ」
 強い声で言った。
「俺達は昼休みだからな」
「ちょっと学校から出て食いに来たな」
「うちの学校昼休み学校の外に出られるからな」 
 校則でそれが認められているのだ。
「それでこの店に来たけれどな」
「小学生が平日はないよな」
「まさかと思うけれどな」 
 金本は本気で言った。
「この店は学校に行かせないで」
「そんな筈ないぞ」
 だがその店員が言ってきた、百四十二位の背で長い黒髪をツインテールにしていて童顔である。店の服とエプロンがだぶついている。 
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