金木犀の許嫁
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第五十三話 家に帰ってその十一
「そうなるものなので」
「今の時点で未来は語れないですね」
「ある程度の予想は出来ます」
それは可能だというのだ。
「それはです、ですが」
「無理だ、出来ないはですか」
「学説で不可能と言っても」
「可能になったりしますね」
「学問、科学の世界は常にそうでした」
まさにというのだ。
「今の技術や知識が否定され」
「より進歩してきたんですね」
「そうです、二十二世紀の技術が出ている漫画を読んで」
「その技術が出来るかどうか」
「それは二十世紀の技術や知識ではです」
それではというのだ。
「わからないです」
「どうなるか」
「それを無理だ、出来ないと言って」
「否定してもですね」
「努力次第で出来るかも知れません」
「新たな発見があって」
「こう言う人は九十九パーセントの努力もせず」
エジソンが言っていたそれをというのだ、少なくとも彼は不眠不休で常に努力してきた人物であった。
「一パーセントの閃きとも縁がない」
「そんな人ですか」
「どちらもなく」
それでというのだ。
「ただ今の知識や技術で駄目出しをしているだけの」
「つまらない人ですか」
「これ以上はないまでに」
幸雄はそれこそという口調で話した。
「下らない人です」
「そうですか」
「そしてそんな人が書く本もです」
「下らないですか」
「取るに足らない、読むだけ無駄と言っていい」
そうしたというのだ。
「酷くです」
「詰まらない本ですか」
「そうです」
まさにというのだ。
「その人の全てが」
「無駄な人生ですか」
「そんなことに一生を賭けるなら」
「そうなんですね」
「夢がないのではなく夢を嗤う」
「壊すどころか」
「ただそれだけの」
夕方の道を歩きつつ話していった。
「何でもない人生です」
「そんな人生送りたくないですね」
真昼は幸雄とここまで話して述べた。
「何があっても」
「そう思われますね」
「はい」
心から答えた。
「本当に」
「そう思われるならです」
「私達はですね」
「送らない様にです」
「することですね」
「左様です」
幸雄は真昼に優しい声で話した。
「無理だ、出来ないではなく」
「どうしたら出来るかですね」
「いいなと思い」
そしてというのだ。
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