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食堂のオムライス

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第二章

「全く住む世界が違うけれど」
「オムレツは基本だね」
 だが鬼頭は冷静な顔で返した。
「フランス料理では」
「よく言われるな」
「基本中の基本で」
 そうであってというのだ。
「それがわからないと」
「駄目か」
「経営側もね、そしてオムレツは色々で」
 一口にオムレツと言ってもというのだ。
「確かにフランス料理にオムライスはないよ」
「実は日本独自の料理なんだよな」
「大阪で生まれた」
 一節には東京のある店だともいう。
「そうしたね、しかしこれもまたオムレツで」
「オムレツをわかる為にか」
「オムレツが評判の店に時々行ってね」
「食べてるんだな」
「これも仕事のうちで」
 それでというのだ。
「オムライスも食べてるんだ」
「そういうことか」
「評判のオムライスがあればね」
「どんなお店でも行ってるか」
「そうだよ、そして実際に君の店のオムライスは美味しくて」
 上田に眼鏡に手をかけて話した。
「いい勉強をさせてもらったよ」
「それは何よりだな」
「そして僕の趣味の一つに食べ歩きもあって」
 鬼頭はこうも話した。
「そちらも楽しみでオムライスも好きだから」
「趣味でもあるんだな」
「仕事でもあってね」
 ここでは微笑んで話した。
「美味しくてよかったよ」
「そう言ってくれるか」
「うん、また来ていいかな」
「他にはカレーもお勧めだけれどいいか?」
「今度はそちらを頂くよ」
「じゃあまたのお来しを」
「ご馳走様でした」
 二人は微笑んで挨拶を交えさせた、そしてだった。
 鬼頭は感情を支払って店を後にした、支払いはカードで上田は自分の店では滅多に見ないその支払い方にやはり違うと思った、そのうえで。
 彼が次に来た時はカレーの注文を受けてそれを出した、そしてそちらも美味いと言われ二人で笑顔になったのだった。


食堂のオムライス   完


                    2025・2・18 
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