こだわり過ぎて
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第二章
「本気で振り返ります」
「そうされて下さい」
「そこに答えがあるなら」
それならとだ、香緒里は言ってだった。
まさにパティシェになりたいと思う様になった子供の頃から振り返った、その頃の香緒里は甘いものが大好きな何処にでもいる女の子だった。
そしてだ、その好きだった食べものは。
「板チョコやカップのアイスクリームが好きで」
「そうしたものを召し上がられてですね」
「はい」
店で西川に話した。
「パティシェになりたいと思っていました」
「そうしたお菓子はシンプルですね」
「はい、とても。ですが」
それでもというのだ。
「大好きでした、そして」
「そしてですか」
「今の私は食材も調理器具も作り方もです」
その全てがというのだ。
「何と細かくかなりこだわっていて」
「そのこだわりがですか」
「優勝した人達そして他のお店の人のお料理と比べても」
白いシェフの姿で言うのだった。
「かなりです」
「こだわってですね」
「かえって装飾過多の様になっていました」
「蛇足になっていましたね」
「そうでした」
西川に反省している顔と声で述べた。
「どうも」
「それではかえってですね」
「よくないです、こだわり過ぎず」
これからはというのだ。
「シンプルさもです」
「心掛けていかれますね」
「こだわればいいというものではないですね」
西川に述べた。
「お料理も」
「だから蛇足という言葉があります」
「そうですね、これからはそこに気を付けて」
こだわり過ぎることにというのだ。
「やっていきます」
「左様ですね」
「これからは」
西川に微笑んで言った、そうしてだった。
香緒里は料理にこだわりではなくシンプルも考えて作る様になった、すると店で作るスイーツも手応えを感じ客からの評判もよく。
コンクールで優勝も出来た、そこで確信したのだった。こだわり過ぎてもよくなくシンプルもまたいいのだと。
こだわり過ぎて 完
2025・2・17
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