| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

彼は いつから私の彼氏?

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

13-5

 次の日は香が一真さんと連れ立ってきてくれて、帰った後に花梨がやってきた。

「花梨 来てくれるのは、有難いけど・・・大会も近いし・・・練習・・・」

「うん 水澄の会いに来るのも 練習やー」

「そんなこと ゆうても・・・ ありがとう」

「ウチも責任あるし・・・あの時・・・」

「あの時って?」

「うん まぁなー」

「変なの!」

「あのさー 美ひろ先輩達の大阪大会前 覚えてる? 水澄が美ひろ先輩と練習試合したん」

「うん なんとなくかなぁー」

「あの時 水澄は 必死で試合して 勝ったんやー 美ひろ先輩に」

「ウン やったかなー 花梨に色々と 世話になった魔球でな 終わった後 美ひろ先輩に あんなスマッシュ 返せるわけないじゃぁないって」

「そうや! ウチも ゆうた 水澄とぶつかりあった試合の後 あんな すごい スマッシュ ウチに返せるわけないじゃぁない 負けたわって・・・」

「・・・ 花梨と・・・」

 私は、その言葉で・・・そうだ 花梨と 激しい試合の後 花梨が抱きかかえてくれて 確かに その言葉聞いた。そう 初めて 花梨に勝ったのだ。あれは・・・確か・・・思い出した。全中の個人戦の決勝!。その後、団体戦・・・。若葉が足をくじいて・・・私の隣には花梨が居た。ペァを組んだのだ。2ゲーム連取されて、

「ふふっ・・・水澄 ウチの隣には水澄が居たんやー 一緒に頂点に立つでー やったろやないかー ウチ等は最強やー 実力みせたる! がんばろーぜペチャパイ」

 と、いきなり 花梨は私の胸を掴んできて・・・

「痛いヤン なんやねん 貧乳がぁー」と、私は思わず 花梨の胸を押さえていた。蘇ってきたのだ ふたりの絆が・・・

「ちょっとー 花梨ちゃん 水澄も・・・なんてことを・・・」と、お母さんはびっくりしていたけど・・・私は・・・

「・・・そうだ! あの時 若葉が出れなくなって 花梨と久々にペァを組んだのよね ふたりともバテバテだったけど・・・マッチポイントで ここやと思って、跳んだ時 ビキッと音が聞こえたよな気がー そのまま・・・真っ暗になって・・・」

「うん 二人とも限界だっと思ったから ウチ 思わず水澄に 跳べぇーってゆうてしもぉーて 水澄は だから、無理やり・・・ゴメンナサイ」

「そんなん あの日 午前中は二人で闘って くたくたやったやんかー 2試合やったようなもんやったやんかー で、若葉が捻挫しちゃって 午後の団体戦でも、私 足が・・・決勝戦では、花梨がカバーしてくれたけど・・・もう、ふたりとも、限界やったヤン 花梨が「跳べぇー」ってだから、この一球が最後やって・・・「アイヨ」と、私も 渾身のチカラを振り絞って・・・跳んだ・・・でも その後・・・」

「ウン ウチもヤッタァーって思った」

「・・・ 花梨 あのスマッシュ 入ったん?」

「・・・すごかった 山手丘の寒川千草の差し出したラケットもかすりもせんとボールは台の上を転がって行った その時 ウチ等は 頂点に立ったんやー 水澄は2冠なんやでー あの後、すごい拍手に歓声と・・・悲鳴がして・・・」

「わぁー やったぁー」と、私は花梨と抱き合って泣いていた。

「水澄! 水澄ちゃん 記憶 戻ったのねー 今 先生呼んでくるね」と、お母さんは慌てて出て行った。そして、先生を連れて戻って来て、私の眼の動きを確認して、手足のしびれとか無いのかを聞いた後

「香月さんは どうして ここに入院しているのかわかるかい?」

「ええ 全中の決勝戦で ここに居る相棒と一緒に闘っていて スマッシュを決めようと跳んだ時 激痛がして眼の前が真っ暗になって そのまま・・・」

「そうか 優勝したこと 理解出来たのかなー?」

「うん 花梨と・・・中学の頂点だよ」

「ふふっ 二人の絆が蘇らせてくれたのかなー 一過性全健忘、TGAだったのでしょう お母さん もう そっちの方は大丈夫ですよ 後は 膝のリハビリに専念していただければ」

「よかったわー 花梨ちゃん ありがとう」

「いえ ウチは 水澄は相棒ですからー 早く 元気になって・・・一緒に・・・」

 そして、夕方になって、監督と仲間達がそろってやってきた。花梨も一度帰って、また 来てくれていたのだ。

「水澄 良かったわね お母様から連絡いただいてー 私 涙が出たわ」

「へぇー 監督でも 泣くことあるんだー」

「そりゃーそうよ 私だって 人の子なんですからね!」

「水澄 ウチ 足捻ってしまって、水澄に余計に負担掛けてしまって 責任感じてたんよー ごめんなー」

「そんなことないよ 私 自分で無理してしまったんや 若葉はキャプテンとしてプレッシャーもあっただろうし 若葉のお陰でみんながまとまったし 感謝してるよ」

 しばらくして、校長先生も顔を出してくれて

「いゃー 回復に向かっているって聞いてナ ちょっと、顔だけ見さしてもらうつもりでー 香月さん 君の活躍は素晴らしかったよ! ここに居るみんなもだが 特に、去年に続いての 岩場さんとの試合 興奮したよー 岩場さんと香月さんが2年続けての女王なんて素晴らしい 我が校の誇りだよ ありがとう ゆっくり休んで 学校に出て来て下さい 待ってます ただ 無理のない範囲でな」と、女の子のとこに長居は無用だからと言って帰って行った。

「勝手なこと言ってるわー 私には、部員の体調も考えないで無理させすぎたんじゃぁなのか とか チクチクと嫌味みたいなこと言ってたくせにー」と、監督はぶつぶつ言っていたが

「そんなことないですよねー 監督はいろいろと考えて 優勝に導いてくれたんですのにねー」と、香もプンプンしていた。
 
 その後、監督は私に金メダルを二つ首に掛けてくれていた。

「落ち着くまで 預かっていてくださいって、お母様から 言われていたからネ 改めてよ よく 頑張ったネ えらいわー」

 夜になって、お父さんとお兄ちゃんが来てくれて

「水澄 良かったなぁー 記憶 戻って来て 1週間程の間とはいえ 水澄の3年間の努力の集大成の大切な1週間だものなー それが抜けてしまうなんてな いや あの日の水澄は素晴らしかったよ 試合中も感動がとまらなかったよー ドキドキ ワクワクもしてな」と、私の手を握るだけで、さすがに遠慮してか、抱きしめてはこなかったのだ。

 お父さん達が帰る時、お母さんは「もう2.3日は居るわ」と、言っていて、私が寝る前におトイレに連れて行ってくれて、ようやくおしめから解放されたのだ。新しいピンクのシルク調のハーフパンツのパジャマに・・・あの深いローズ色でレースの縁取りされたもの。私は穿いてみて 自分でも わぁーと さすがに ドキドキしていたのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧