彼は いつから私の彼氏?
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13-4
翌朝、おトイレに連れて行ってくれた後、お母さんは私がお願いしたものを買いに行くと、出て行って、その後、翔琉が顔を出してくれて、私が好きだというレーズンのプリンを持ってきていてくれた。
「わぁー お盆なのにお店やっていたの?」
「うっ うん まぁー 好きなんだろう? これ」
「うん だぁ~い好き」
と、そのプリンを食べた後、私は 「ねぇー」と、翔琉の手を握ったので、わかったのだろう。ベッドの上の私を抱きしめてきて、キスしてくれて、舌も絡ませあって濃厚なのだった。
「ねぇ この前もキスしたの プリン食べた後だったような気がする 大きな樹の下 どこだったかなー でも、あの時、あの店お休みだったので、私 ファミマで買って行ったんだよねー あの時、なんでお休みだったんだろう・・・」
「水澄 そう・・・いや ゆっくりと思い出せばいいよ」
「思い出すって? ・・・」私には、そうだ 暑い夏の公園で、翔琉と抱き合ったシーンが・・・何となく 頭をかすめてきていた。
「あのさー 俺は ず~っと 水澄の側に居るよ 別に俺のことさえ忘れなかったらいいんだよ あのさー 俺 高校 教育大付属に行くよ 水澄は、そのまま高校部に行くんだろう 同じ駅だから 時々 逢えるよねー」
「うん そーだね がんばれ! 翔琉 なぁ 翔琉は私の彼氏やんなー いつからなんだろう」
「うん 勿論だよ 彼と彼女だよ あのな、これから塾の手続きあるから帰るよ 明日から学校も始まって、塾もあるから土日しかこれないかわからないけど ラインするよ」
と、彼が帰った後、直ぐに花梨がやってきた。
「ねぇ ねぇ 廊下ですれ違ったの彼なんでしょ 来てたの?」
「うん 今 帰ったとこ」
「やっぱー 直接 話したことないからー でも そーなんだろうなって 会釈だけしたけどー やさしそーだよね」
「そう? ウフッ 花梨 練習は?」
「えっ えーと 今 お盆休み・・・」
「あっ そーかー 身体休ませなきゃーね 普段 痛めつけてるんだものねー」
「そうねぇー あのさー 1年の時 ウチが初めて全中に行くんで、水澄が練習相手になってくれたの 覚えている?」
「覚えてるよー あの時 花梨 心細そーな顔してさー でも 1年生の代表だからーっと思った」
「そう その後 ダブルス組んでさー 初めて大会に出て 優勝したやんかー」
「そーだよ あの時 私 不安だったけど 花梨に助けられてさー」
「でも あの時から ウチ等 相棒になったんだよね 最強の」
「そーかなー お互い 助け合って 息もピッタリだったよね 懐かしいなぁー」
「その後 水澄は若葉と組むようになったけど 水澄はウチ等は仲間だと・・・ウチ 嬉しかったんやー あの時」
「だって 仲間やもん でも 花梨のことはペァで無くっても 相棒やって思ってたよ」
「今年になって 高校生 特に 美ひろ先輩に 練習付き合わされる羽目になってさー 二人とも 相手の球の速さに付いて行けなくてー 悩んだよねー ふたりで・・・」
「そう なんか バカにされたよーでさー こっちは中学生なんやからー 当たり前やんかなぁー」と、二人で笑い合っていた。私は、花梨がこんな風に笑っているのを、初めて見た。と言うより、花梨がこんなに感情を激しく見せてきたのは、私が入院するようになってからなのだ。
「・・・ 春休みの合宿も覚えてる? 響先輩に叱られて 3年にもなって (私はドジでノロマなうさぎです) って 二人で泣いたよねー」
「だったよねー 私等 でも もっと 強くなった」
その時、お母さんが帰って来て
「あー 花梨ちゃん 来てくれていたの ありがとうね 水澄の言っていたのって そこらに売っているわけないじゃぁない 天王寺まで行ってしまったのよ 買うのも恥ずかしかったわよー」
「水澄 何か 欲しい物あったの?」と、花梨も不思議そうな顔で
「うん あのね」私は、お母さんから紙包みを受取って、中のものを見せると
「えっ えぇー こんなのぉー」と、花梨は驚いていて、それは 濃いローズ色のものと紺色のもの 二つとも、縁がレースで飾られている腰紐のものだったのだ。私もさすがに手に取るとドキドキしていたのだ。
「ふふっ トイレの時 便利ヤン 汚れると嫌やから 濃い色のもんって お母さんの頼んだの セクシーやろー」
「うっ う~ん だけどさー」
「ほんでも 香もこんなん穿いとったでー 花梨もどう?」
「あの子は 別やー ウチはそんなん・・・無理! 当たり前やろー でもさー 二人でこんなん被って試合しようかぁー」
「ふふっ みんな びっくりするよねー 監督なんかも慌てるよなー」と、二人で笑い転げていたのだ。
「あなた達・・・呆れるわー バカなこと言い合ってぇー でも 花梨ちゃん 水澄を元気づけてくれてありがとうね」
「うん だって ウチと水澄は 一心同体やねんからー」
「そーよねー・・・花梨とはね あっ お母さん これっ ありがとう お母さんのも買ってきたん?」
「えっ ・・・ そんなわけないじゃぁない!」
「ふ~ん お父さんのために・・・」
「ばかね 何言い出すのーぉ お友達の前で」
「いいの 花梨には何でも話し合うんだからー あーそうだ さっき 翔琉が来てね レーズンのプリン 持ってきてくれたの ねぇ お母さん? お店 お盆休みじゃぁないの?」
「えっ そう? お休み貰ってるから知らないわ」
「ふ~ん 花梨 これ 美味しいんだよー 私のお奨め 食べてー まだあるからー」と、花梨にも差し出していた。
「う~ん プルンじゃぁなくて とろける感じ 美味しいわー」
「でしょっ 好評で 売り切れるんだって 去年からなんだけど これの発売には私も絡んでいるのよ」
「へぇー 中学チャンピォンお奨めとか?」
「ピンポーン 近いわ さすが 花梨 鋭いね なぁ 私 こんなんになってしもーぉたけど 花梨は絶対に2冠取ってなー 団体も若葉と組むんは ひなたかなー サースポーやし・・・」
「水澄ぃー」と、花梨は私を抱きしめて また 泣き出して、涙を拭きながら帰って行った。なんだろう? あの子 急に涙もろくなってぇー
その後、本堂監督が顔を出してくれて、お母さんに「前の監督さん」と説明すると
「申し訳ございません 今回のことは 私が指導も出来ないのに、余計なことを言ったばっかりに 私の責任です 水澄さんには無理をさせてしまいました」と、頭を下げていたのだ。
「監督 そんなことないですよー お陰様で高校生のトップクラスの先輩にも勝つことが出来ましたし 私 成長出来たんです 感謝していますよ」
「そうですよー この子が厳しいことわかっていて 自分で選んだ道ですからー 先生には責任はございませんわ それよりも 水澄が近所でも有名になってー 私も自慢の娘にしてくださって感謝しています」
「水澄 まぁ 治して、リハビリになるんだろうけどー 来年の高校総体には元気な姿を見せてくれ」
「監督・・・私・・・ もう 前みたいには飛ぶと言うこと できないかも・・・自信ないの それに、花梨には一度も勝てないままで・・・」
「そんなこと無かったじゃぁないか・・・いや・・・そのー お互い切磋琢磨して、成長しとる」
「あの子 天才だから 私なんてー」
「なに 弱気になっとるんじゃー 水澄なら きっと 復活すると信じとる・・・その・・・ 花梨にも勝てるさー きっとな 君はそーいう奴なんだ」
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