死にそうな人の顔
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第一章
死にそうな人の顔
今高校生の西田登美子は死にそうな顔をしていた、普段はメイクを決めていてそれ以前に切れ長の二重の目と面長のすっきりしたと高めの鼻と紅の唇が奇麗な顔だ。茶色にした長い髪の毛をセットしていて背は一六四位でスタイルがいい。
その彼女にだ、クラスメイトの影山真紀子黒髪をロングにしていて大きな黒目がちの目と波打った唇と色城のやや細い顔を持つ小柄な彼女は問うた。
「死相出てるけれどどうしたの?」
「ちょっとね」
休日の部活帰りに街で遊んでいる、二人共ダークグリーンのブレザーに黒いミニスカートに赤いリボンにライトブルーのブラウスの制服姿だ。
「ピンチなのよ」
「ピンチってまさか」
「そのまさかでね」
歩くのは遅くなっていて脂汗も流している。
「おトイレ行きたいわ」
「やっぱり」
「だからね」
それでというのだ。
「何処かにないかしら」
「ええと」
真紀子はその話を受けて言った。
「あそこに入る?」
「吉野家?」
「そう、あそこに入って」
そうしてというのだ。
「おトイレ借りる?」
「そうね」
富美子は蒼白の死にそうな顔で応えた。
「このままだとね」
「危ないのね」
「ええ、じゃあね」
「入りましょう」
「一瞬後どうなるかわからないし」
今の状況はというのだ。
「一刻も早くよ」
「じゃあね」
「吉野家、入りましょう」
こう話してだ、二人でだった。
吉野家に入った、すると富美子は席に着くより前にだった。
店員に話してトイレを借りた、そのうえで。
危機を脱した、そして普通の顔に戻ってだった。
「牛丼並お願いします」
「わかりました」
若い店員は笑顔で応えた、そしてだった。
既に牛丼が来ていて食べている真紀子の隣の席、そこに座ってそのうえで言った。店の中身はまさに吉野家でカウンターの席ばかりだ。
「いや、危うくね」
「本当にそうだったのね」
「おトイレに座った瞬間によ」
「下着脱いで」
「まさにね、本当にあと一瞬遅かったら」
話が話なので二人共ひそひそと話している。
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