ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-
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第24話:怒涛のシップウ
前書き
力の1号、技の2号。
二人の仮面ライダーに旅人達は遭遇する。
ネオライダー達の猛攻に、一同は立ち向かうのであった。
一文字隼人が変身を遂げた仮面ライダー2号。
彼は自分とサクラ達に迫りつつあるカクタスオルフェノクとクラブファンガイアへ向き直り、地面を蹴って距離を詰めた。
二体の怪人のうちカクタスオルフェノクが迎え撃ち、全身に覆われた棘による素手で迎え撃とうとする。
だが、振るわれた腕を軽く避けると、カクタスオルフェノクの横を潜り抜け、クラブファンガイアへ向けて拳を振るった。
「タァァァッ!!!」
「ガッ!?」
2号が放った鋭いパンチは分厚い装甲の間を縫うように的確に急所を撃ち抜いた。
いきなり急所を狙われよろけるクラブファンガイアの所へ、2号は両腕のハサミを掴むと、瞬時に足払いをお見舞いする。
足を蹴飛ばされ一瞬宙に浮いたクラブファンガイアを、二号は力を込めて投げ飛ばした。
「そらよっ!」
「グアッ!?」
「ちょ、待て……んぎゃ!?」
投げ飛ばされたクラブファンガイアはカクタスオルフェノクへと激突し、そのまま絡み合って派手な音を立てながら地面へ倒れこむ。
二体の怪人を対処した2号はライオトルーパーの方へ振り向くと、すぐさま飛びかかっていった。
「そらぁ! おらぁ! ハッ!」
「ぐぎゃっ!?」
「がはっ!?」
「ぐはっ!?」
ライオトルーパーはアクセレイガンを振るって2号へ攻撃を仕掛けてくるが、それらを慣れた身のこなしでよけると、すれ違いざまに胴体へパンチやキックを叩き込んでいく。
一対多にも関わらず、数の不利さをもろともしない2号……そんな彼の戦う雄姿を見て、不安がっていた俊彦・義男・満里奈の三人は目を輝かせていた。
「すっげぇ……!」
「たった一人で黒服と怪人達を……!」
「仮面ライダー、頑張って!」
自分達を守るために戦っている2号に向けて、応援の言葉を向ける子供達三人。
そんな彼らを傍らに、サクラは内心ではあの場に残った小狼と士の事を心配していた。
(小狼君……士さん……大丈夫なのかな。ううん、きっと大丈夫だから……)
これまでどんな壁をも乗り越えた小狼と、いくつもの世界を滅びから救ってきた士。
彼ら二人がこんなことで負けるはずがないと信じているサクラは、できるだけ子供達と共に安全な場所で見守ってることだけ。
下手に動けば戦っている彼らの戦いの妨げになると思い、子供達を連れて物陰に隠れていた。
―――せめてもの私ができることを……私ができる戦いを行う。
そう思ったサクラは子供達と共にライオトルーパー達ネオライダーと戦う2号の様子を見守っていた。
~~~~~
一方、ディケイドとナイト対ネオライダー幽汽。
場所を室内から屋外へ移し、幽汽の振りかざす大剣をそれぞれの剣で防ぎ、何とか防御を続けるディケイドとナイト。
その狡猾な戦い方によって以前小狼は窮地に追い詰められた。
だが今回は"仮面ライダーナイト"という同等の力を持ち、相対している……簡単に負けるわけにはいかない。
ナイトはダークバイザーを構え、幽汽へ向かって走り出した。
「ハァァァァ!!!」
『「オラァ!!」』
ナイトのダークバイザーと幽汽の大剣が火花を散らしながらぶつかり合い、鍔迫り合いを行い始める。
暫しの間力の拮抗が繰り広げられるが、次第に幽汽の方が優勢になっていく。
仮面の下で苦しい表情を浮かべるナイトに、幽汽は嘲笑う。
『「ハハハハハ! どうしたよ! ライダーに変身してもその程度か!!」』
「くぅぅぅ……!!」
ゴーストイマジンの膂力も上乗せにした幽汽の大剣が迫り、冷や汗を掻くナイト。
変身した今でも、どうにかして変身している相手に食らいついている……伊達にこの幽汽がただの仮面ライダーじゃないことを意味しているかもしれない。
それでもこの状況を打開しようと思ったナイトは、咄嗟に身体と剣を傾かせ、幽汽の大剣を反らした。
突然の行動に一瞬何が起こったのかとバランスを崩す幽汽、そこへ死角に回ったナイトの鋭い横蹴りが背中へと直撃した。
「ハッ!!」
「ぐぉっ!? テメェ!!」
ナイトの反撃に地面を転がった幽汽は激昂を込めた拳を地面へ叩きつけると、立ち上がって態勢を立て直そうとする。
そこへ、ディケイドの振りかざしたライドブッカー・ソードモードの剣撃が迫り、それを咄嗟に受け止める。
ギチギチと刃をこすり合わせる金属音を鳴らしながら、ディケイドは幽汽へ話しかける。
「お前、この俺を忘れていただろ」
「ディケイド! 貴様ぁ!」
「次は俺が相手にやってやる。コイツでな」
ディケイドは手にした一枚のライダーカードを幽汽へ見せつけると、あらかじめ展開していたベルトへと装填。
接敵していた幽汽から離れると、ディケイドライバーのバックル閉め、その効果を発動させた。
【KAMEN-RIDE…DEN-O!】
電子音声が鳴り響いた後、電車の発車BGMに似た音色と共にディケイドの周囲に光のエネルギーが出現。
それらは六つのアーマーと変わり、ディケイドの身体を黒と銀色の軽装をした素体ボディへと変えていく。
やがて六つのアーマーはボディ上半身に取りつき、赤い装甲へと変貌。
その後、桃を形どった仮面が出現し、正面に辿り着くと、上下真っ二つになるように変形した。
過去と未来を行き来する時間の守護者・D電王へと変わると、ライドブッカーを構えて幽汽へと突撃を仕掛けていった。
ディケイドが変身したそのライダーを見て、幽汽――ゴーストイマジンは驚いた。
『電王だと!? テメェ電王にもなれるのかよ!?』
「あんだゴースト!? そんなに電王ってのがまずいってのか!?」
「知らないか? 『俺、参上』って名乗りの仮面ライダーをな!」
電王の姿を見て動揺するゴーストイマジンと、イマジンの天敵ともいえる電王の存在を存じない尚樹。片方が動揺して身動きが一瞬鈍くなった幽汽へD電王が振りかざしたライドブッカーが捉えた。
幽汽は咄嗟に受け止め、その後数度打ち合うが、若干D電王にって押され始める。
ゴーストイマジンの動揺もあるが、D電王の繰り出す手数の多さと勢いに幽汽は戸惑っていた。
「くっ!? なんだ!?姿が変わっただけで!?」
「良いこと教えてやるよ、『戦いはノリのいい方が勝つ』らしいぜ!」
かつて出会った『電王の世界』のとある人物の持論を口にしながら、D電王は幽汽を圧倒していく。
幽汽は何とか打開をしようと、ライダーパスを手にし、それをユウキベルトのバックルへと翳した。
【Full Charge】
「でかいのいくぞぉ!!」
『こいやぁっ!!』
『「ハァァァァァ!!」』
幽汽の掲げた剣の刀身に青白い鬼火が宿り、それを地面を叩きつける。
砕きながら放たれた衝撃波『ターミネイトフラッシュ』がD電王へと迫っていった。
―――追い詰めすぎたか……、そう思ったD電王の元へ声が聞こえてきた。
【ADVENT】
「士さん、掴まってください!」
「ッ!!」
ターミネイトフラッシュの衝撃波が直撃する寸前、D電王は咄嗟に上へと手を伸ばす。
その手を掴んだのは、アドベントによって呼び出したダークウィングを背中へ合体させたナイト。
空を自由に飛ぶ能力を得たナイトは、D電王を軽々と運び上げ、それによってターミネイトフラッシュの一撃を回避した。
必殺の一撃を避けられて驚く幽汽……上を見上げれば、空高く舞い上がったナイトとD電王の姿があった。
ナイトとD電王は一枚のカードをベルトとダークバイザーに装填し、必殺の一撃を繰り出す準備をする。
「小狼、行くぞ」
「はい!」
【FINAL-ATTACK-RIDE…DE・DE・DE・DEN-O!】
【FINAL-VENT】
それぞれの電子音声が鳴り響くと、ナイトの手からD電王は離され、そのまま堕ちていく。
重力による自由落下を感じながらD電王は手に持ったライドブッカーの先端から赤いオーラで出来た刀身を生み出し、それを撃ち出した。
放たれた赤い刀身は幽汽へ炸裂し、さらにライドブッカーの動きと連動するように何度も斬りつけていく。
ナイトはウィングランサーを装備、それと同時にダークウィングが防具となる漆黒のマント・ウィングウォールへと変わり、さらにドリル上に包み込んだ。
ウィングランサーを構えたままナイトは急降下による突撃が幽汽へと向けられる。
「ハァァァ!」
「タァァァ!」
『「なっ……ぐあああああ!?」』
D電王の『エクストリームスラッシュ』とナイトの『飛翔斬』、二人の同時に繰り出した必殺技が幽汽へと叩き込まれる。
幽汽は防ぐ間もなく受け、そのまま爆発を巻き起こした……爆炎の中から変身が解除された尚樹とゴーストイマジンが飛び出し、地面へと倒れこむ。
ボロボロの姿になりながらも、尚樹は信じられないような顔で睨みつける。
「うそ、だろ……なんで、こんなガキに……!?」
「コイツは自分の願いを叶えるために変わった、変身する覚悟をした。今更お前なんかに負けるかよ」
自身がナイト―――小狼に負けた事実を信じられない尚樹に対し、電王の姿から元の姿に戻ったディケイドがそう告げた。
この世界の仮面ライダーや怪人達と渡り合うために、なにより大切な人の記憶を取り戻すために戦う小狼をディケイド――士は見てきた。
仮面ライダーになれる事を優位に思って慢心していた幽汽/尚樹に、自分の想いを抱えて戦っていたナイト/小狼が強いとディケイドは語った。
それを聞いた尚樹は目くじら立てて、怒号を上げた。
「ふざけんなよ! 何が願いだ、バカバカしい! テメェの願いなんざ何一つ叶えられるか!!」
「……それでもおれは決めた。やると決めたことをやる、それだけだ」
「ッッ!!」
尚樹の言い放った否定の言葉にナイトは忽然とした態度で自分の意思を呟いた。
それを耳にし、尚樹は目を見開くと、自身の顔を地面へと俯いた。
戦闘の意思がなくなったと判断したディケイドはナイトを連れて、サクラ達の元へと向かった。
取り残された尚樹は、未だ気を失っているゴーストイマジンの傍らで、己の拳を震わせていた。
「……クソッ……クソッ……畜生……!!!」
「―――アアアアアアァァァァァッッッ!!!」
「許さねぇ……許さねえぞ……テメェの願い、否定してやる……台無しにしてやる……!!」
顔を上げ、既に立ち去ったディケイドとナイトへ向けるのは、怒りと悔しさが入り混じった瞳。
未だ必殺の一撃を受けてまともに動けない尚樹は黒い感情を胸の内に溜めつつ、怨嗟の言葉を呟くのであった。
~~~~~
場面は戻り、1号とクウガ。
相対する二人のオルタナティブと対峙しており、互角の戦いを繰り広げていた。
「ハッ!」
「タァ!!」
格闘戦を繰り広げて戦う1号とクウガ、それをスラッシュダガーで捌くオルタナティブ2体。
互いに背中合わせで戦う二人……クウガはふと、1号へと質問をぶつけた。
「本郷さん、なぜあなたは彼らと戦っているんですか?」
「俺は、ある人物を探すためにこの世界にやって来た。ネオライダーはアイツを狙っていると聞いて、彼らと対立をした」
「そうだったのか……その人物を助けたいのですか?」
「ああ、アイツは俺の親友だからな」
クウガと1号は斬りかかってくるオルタナティブを迎え撃ち、的確に拳を叩き込む。
そして殴り飛ばした後、1号はクウガの方へ視線を向けて彼の名前を訊ねた。
「キミの名前は?」
「小野寺ユウスケ、仮面ライダークウガです!」
「ユウスケか。成り行きで悪いが一緒に戦ってくれ」
「ああ、まずはこいつらネオライダーをどうにかしてからだ!」
お互いの気持ちを伝え合った1号とクウガはオルタナティブ達へと視線を向ける。
態勢を立て直して、再び得物を構えるオルタナティブ達へ走り出す。
「トォォォォォ!!」
「オリャアアアアア!!」
1号とクウガが繰り出したストレートパンチ。
二人の繰り出した一撃をオルタナティブはスラッシュダガーで受け止めるが、勢いを抑えきれずに弾き飛ばされてしまう。
相手の武器を弾き飛ばした今、チャンスと見た1号とクウガは互いの顔を見合わせた。
「今だ!」
「ああ!」
「「―――ハァッ!」」
1号とクウガはお互いに頷くと、地面を蹴り上げて空高くジャンプし大空へ舞い上がる。
空中で1回転すると、同時に片足を突き出し、オルタナティブ達へと向けた。
飛び蹴りの構えで1号とクウガは必殺の一撃を叩き込んだ。
1号の放った『ライダーキック』と、クウガの炎を纏った飛び蹴り『マイティキック』。
ダブルライダーが繰り出した必殺キックはオルタナティブへと炸裂し、そのまま蹴り飛ばした。
オルタナティブはまともに受け、数回空中を回転しながら地面へと激突し、爆発。
装着者であった男達が投げ出され、そこには砕け散ったカードデッキが散乱するのであった。
その様子をライオトルーパーと対峙していた歌舞鬼とサガは感心していた。
「アイツら、初対面のくせによくやる」
「本郷さん、だっけか。強いね彼」
「くそぉ! 余裕ぶってんじゃねえぞ!」
ライオトルーパー達相手に器用に歌舞鬼とサガへ、シザースがシザースバイザーを構えて殴りかかってくる。
ライオトルーパー達に紛れて仕掛けてきた攻撃を歌舞鬼は音叉剣で受け止めると、すぐさま斬り返す。
咄嗟に装備していたGUARDVENT・シザースシールドで防ぐシザースだが、踏ん張りが足りなく直撃したまま押し出された。
「オラァ!!」
「ぎゃふぅ!?」
歌舞鬼によって大きく飛ばされたシザースはそのまま弧を描いて何処かへと飛んでいった。
後に残されたライオトルーパー達は敵わないとみると、シザースの後を追って立ち去っていく。
いつの間にかマスクドマンの姿もなくなり、一通り敵を倒した一同はひとまず夏海の元へと合流しようとした。
―――その時であった、5人の近くの場所で火柱が上がったのは。
後書き
今回のテーマは『乱戦』
2号がいともたやすくオルフェノクとファンガイアを相手している所で他陣営は色んなバトルを繰り広げてました。(オルフェノクとファンガイアのチョイスは、本家仮面ライダーのサボテグロンとシオマネキング)
ディケイドとナイトは幽汽とのリベンジマッチ。
クウガと1号は"はじまりのライダー"繋がりで共闘。
シザースをシバき倒す歌舞鬼とサガ。
三者三葉の戦い方をする一同、書いていて楽しかった←
しかし、そんなディケイド一行withダブルライダーVSネオライダーの戦いに新たな波乱が……?
次回、漸く登場、彼の名は?
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