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世界の礎

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第四話 海その九

「あの街だ」
「あの街を掌握しますね」
「何度言っても降らないからな」
 だからだというのだ。
「ここはな」
「攻めますね」
「最後の手段だ、攻めるぞ」
「わかりました、ですが」
「テュルスは陸に近い島にあってな」
「攻めづらいです」
 キトは険しい顔で述べた。
「あの街は」
「だが絶対に攻め落とせない街はない」
 義青はキトに強い声で答えた。
「まずは水軍で囲むのだ」
「テュルスを」
「テュルスの水軍は強いがな」
 このことは事実だがというのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「数も艦の質もだ」
 その両方がというのだ。
「我々の方が圧倒しているからな」
「だからですか」
「まずは囲む、そして飛兵を動かせるだけ動かしてだ」
「空から攻めますか」
「そうするのだ、また言うがテュルスは都市国家だ」
「一つの街に過ぎない」
「そのテュルスが帝国に勝てるか」
 広い勢力圏を持ち多くの人口を擁するこの国にというのだ、義青はキトに対してここでも強い声で話した。
「果たして」
「人口に圧倒的な違いがあるので」
「それがそのまま水軍でも飛兵でもだ」
 その両方でというのだ。
「圧倒している、装備もな」
「こちらもですね」
「同じだ、だからな」
「艦隊で囲み」
「空から攻める、空から城壁を壊す」
 テュルスのそれをというのだ。
「島全体を囲むそれの一部をな」
「そうしてですね」
「そこから兵も入れてな」
「攻めますね」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「陥落させる、ただそこでだ」
「終わりですね」
「実は起きた世界ではテュルスは攻め落とされている」
 アレクサンドロスによって攻められたそれの話をするのだった。
「実はな」
「そうだったのですか」
「その時は水軍で囲まれてからな」
 ここまでは同じだった。
「陸から橋を埋め立てて造ってな」
「陸から攻めたのですね」
「そうして攻め落としてな」
 義青はテュルスのそれからのことも話した。
「そうした時代だった、成人した男は皆処刑された」
「全員ですね」
「そして残った者は奴隷に売られた」
「義青様の政とは全く逆ですね」
「自分に逆らえばこうなるという見せしめにだ」
 全世界に見せたのである、アレクサンドロスは。
「そうした、また余計な人口を減らしてな」
「食べるものに困らない様にする」
「そうした考えで以てな」
「処刑し奴隷に売った」
「そうしたのだ」 
 まさにというのだ。
「アレクサンドロスはな」
「あの神霊様は確かに苛烈な一面をお持ちです」
 キトもこのことは知っていて述べた。 
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