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相続者

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第二章

「勉強が出来てもな」
「あれにしか思えない人もいるから」
「それだけじゃないんだ」
「成程、勉強が出来ても出来なくても」
「大したことじゃないんだ」 
 こう言うのだった、何かとだ。
 彼は人生で深い考えを持っていって言ってその通りにしていた、そうして彼は人格者と評判だった。
 真面目に働きラーメンと店のことに打ち込んでいた、だが彼は一緒に店を経営していて心から寄り添い合っている妻の留美小柄で黒い短い髪の毛に大きな丸い目と愛嬌のある顔立ちの彼女に自宅で言った。
「全く、どういう訳かな」
「あなた前世の記憶があるのよね」
「そうなんだよ、幾ら生まれ変わっても」
 それでというのだ。
「しかしな」
「前世の記憶がよね」
「彼これ二千年生まれ変わり続けて」
「記憶はずっと受け継がれてるのよね」
「最初はローマでコロシアムの掃除やっててな」
 そうであってというのだ。
「禿げたおっさんが借金取りに何か言ってるの見た」
「カエサルさんね」
「その次は青州で百姓やってて」
「普通に暮らしてたわね」
「アステカで神官の召使やったりな」
「イングランドで漁師さんやって」
「インドで香辛料売ったりな」
 そうしたというのだ。
「色々あったな、その中でな」
「色々学んだのよね」
「ああ、だから人にあれこれ言う人がな」
 そうした人がというのだ。
「自分に甘くて他人に厳しくて」
「そうした人がいざって時に困ったり」
「お勉強が出来てもな」
「他のことが駄目な人も見たのよね」
「そうだよ、完全な無能で」
 それこそというのだ。
「本当にあの弁護士あがりの政治家さんみたいな人を何人もな」
「見て来たわね」
「あと嘘吐きまくって誰からも信じられなくなった」
 そうしたというのだ。
「リアル狼少年もな」
「見たわね」
「インチキ占い師や宗教家もな」
 そうした連中もというのだ。
「見てきたよ」
「そうだったわね」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「博打に女遊びで」
「身を持ち崩した人も見たわね」
「俺自身はまってな」
 そうしてというのだ。 
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