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野球チームの月刊誌

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第一章

                野球チームの月刊誌
 根室寿の頭の中には常に愛する阪神タイガースがある、その為家では毎日デイリースポーツを読んでいて。
「今月も来たな」
「月刊タイガースね」
「いやあ、いい雑誌だよ」 
 妹の千佳に家に届けられたその雑誌を手にして言った。
「つくづく思うよ」
「そこまでするのね」
「いや、千佳もじゃないか」
 兄は妹に何を言っているんだという顔で反論した。
「月刊カープ読んでるじゃないか」
「当然でしょ」 
 妹も何を言っているんだという顔で反論した。
「カープファンならね」
「当然だよな」
「少なくとも私はね」
「月刊カープも読んで」
「そのうえでよ」
「カープを応援するな」
「私の血は赤よ」
「人間ならそうにしても」
「この赤は何の赤よ」
「カープの赤だっていうんだね」
「そう、だからね」
 それ故にというのだ。
「もうね」
「月刊カープの定期購読は当然で」
「毎月届けてもらってるわ」 
 自宅にというのだ。
「それで読んでるわ」
「じゃあ僕と同じじゃないか」
「そう言われるとそうね」
「応援すればいいさ」
 妹にこうも言った。
「千佳は千佳で」
「お兄ちゃんはお兄ちゃんで」
「そうだよ、じゃあ今から読むよ」
 月刊タイガースをというのだ。
「そしてチーム戦略も考えないと」
「若手の人もチェックして」
「それぞれの人をどう育成するか」
「そうしたことも考えて」 
 そうしてというのだ。
「熟考するよ」
「それで最高で二位ね」
「優勝に決まってるじゃないか」
「優勝はカープよ」
 兄妹でこんなことを言い合ってだった。
 寿は月刊タイガースを読みはじめた、千佳は彼女にとっては興味の外のことなので自分の部屋でのテレビゲームに向かった、そして。
 次の日自分の部屋に遊びに来た友人達にだ、こう言われた。
「つくづくね」
「千佳ちゃんのお部屋って凄いわね」
「カープグッズばっかりで」
「カレンダーもだし」
 見ればカープのそれだった。
「ポスターも貼ってて」
「月刊カープもあるし」
「カープ尽くしじゃない」
「何時見てもね」
「好きだからね」
 千佳は友人達のその部屋の状況を当然だと述べた。
「命だしね、私の」
「だからなのね」
「ここまでなのね」
「カープ尽くしで」
「雑誌まであるのね」
「愛読してるわ」
 自分から言った。 
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