そこまで切羽詰まっているのか
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第三章
「国民の生活はな」
「食いものもなくてか」
「他のものもでな、それで軍隊もな」
こちらもというのだ。
「核兵器だのミサイルに注ぎ込んでだよ」
「ボロボロでか、酷い銃だな」
彼等が使っているそれを見るとだ。
「何時の銃だよ」
「だから昔の銃をずっとだよ」
「使ってるんだな」
「そうだよ、それでドローンなんてな」
そうしたものはというのだ。
「全くな」
「なくてか」
「知らないんだよ」
「それで見たら何でも撃つんだな」
「そうだよ」
こうしたことを話した、そしてだった。
彼等はただひたすら突撃した、シェイスキーはそれを見てまた言った。
「おい、馬鹿かあいつ等」
「何言ってるんだ、あいつ等の戦術だぞ」
マトニコフは冷めた目で答えた。
「伝統的なな」
「突撃しかしていないぞ」
「だから戦術もだよ」
こちらもというのだ。
「七十年前のだよ」
「兵隊の俺達ですら大昔って知ってるのにか」
「将軍様が言う戦術をな」
それをというのだ。
「守ってるんだよ」
「そうなんだな」
「ああ、世襲のな」
「そういえばあそこ世襲だったな」
国家元首はとだ、シェイスキーは冷めた目で言った。
「偉大なる将軍様の一族がな」
「代々な」
「共産主義って言ってもな」
「共和国でもな」
「世襲だったな」
「それで神様みたいになっていてな」
極端な個人崇拝によってというのだ。
「それでな」
「将軍様の言うことは絶対でか」
「そうなっていてな」
それでというのだ。
「ああしてだよ」
「将軍様が言った大昔の戦術でか」
「大昔の兵器で戦ってるんだよ」
「碌に食ってこなかった連中がか」
「それでな」
言っている傍からだった。
北朝鮮軍の兵士達は吹き飛ばされていた、遮二無二な突撃を行ってウクライナ軍に狙い撃ちにされてだった。
そうなっていた、それを見て二人も呆れるばかりだったが。
「脱走兵多いか」
「しかも訓練の時こっちの教官も撃って大怪我させたらしいぞ」
マトニコフはシェイスキーに話した。
「急におかしくなったのかな」
「何でそうなるんだ」
「俺もその辺りは知らないけれどな」
それでもというのだ。
「脱走兵が多くてな」
「それは俺達でもだけれどな」
「それだけじゃなくてだよ」
さらにというのだ。
「そんなこともな」
「あってか」
「ああ」
それでというのだ。
「訓練させるにもな」
「大変か」
「最新技術なんて知らないしな」
こちらのこともというのだ。
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