そこまで切羽詰まっているのか
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第二章
「小さくて痩せてるな」
「随分とな」
「本当に俺達と同じ歳か?」
北朝鮮軍の将兵達はというのだ。
「子供みたいだぞ」
「痩せこけていて顔色も姿勢も悪くてな」
「あれで兵隊かよ」
「あそこ食いものないからな」
同僚はここでこのことを言った。
「国民皆いつも餓えてるらしいな」
「軍隊でもかよ」
「ああ、それでな」
その為にというのだ。
「食いものもな」
「なくてか」
「あの通りなんだろ」
「いつも餓えていてか」
「小さくて痩せていて顔色も悪いんだろ」
「そういうことか、まあ人は見た目でわからないからな」
シェイスキーは子供の頃祖母に言われたことを思い出して言った。
「実際に戦ってもらってな」
「この目で確かめるか」
「そうしような」
こう話してだった。
彼等も他のロシア軍の者達も北朝鮮軍を見た、すると。
「おい、ロシア語通じないぞ」
「全くな」
シェイスキーもマトニコフも話した。
「国が違うからな」
「考えてみればそうか」
「ああ、民族も違うんだ」
「通じなくて当然だな」
「だから命令してもな」
そうしてもというのだ。
「全くな」
「聞かないな」
「それでだよ」
言った傍からだった。
「撃て!」
「撃て!」
北朝鮮訛りの韓国語でだった。
彼等が叫び空を飛ぶものを攻撃した、マトニコフはその光景を見てこれ以上はないまでに嫌そうな顔で言った。
「こっちのドローン攻撃してるんだよ」
「ないだろ、それ」
シェイスキーは仰天して叫んだ。
「こっちの兵器だぞ」
「あと空飛ぶものは何でも攻撃してるぞ」
「ドローン知らないんだな」
「あそこ最貧国だぞ」
マトニコフはこのことを話した。
「軍隊ばかりに金注ぎ込んでな」
「他のところに金回してなくてか」
「それでドローンなんてな」
そうしたものはというのだ。
「軍隊でもないんだよ」
「今時そんな軍隊あるんだな」
「ああ、五十年代の兵器しかないな」
「俺の祖父さんが生まれた頃だぞ」
シェイスキーはまた叫んだ。
「ふざけてるのか」
「ああ、ふざけてるさ」
マトニコフも否定しなかった。
「あそこの政治がな」
「そこはふざけたら駄目だろ」
「軍隊と国家元首、将軍様の贅沢にばかりだよ」
「金使ってか」
「ああ、そしてな」
そのうえでというのだ。
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