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第百五十七話 下品な奴その一

                第百五十七話  下品な奴
 留奈は球形で部活での用事もなくかつ伊東も今は部活の催しで忙しく手が空いていないのでだった。
 一人で文化祭巡りをしていると一人の褐色の肌に縮れた髪の毛の痩せたメキシコ系アメリカ人のかつての友人と出会って声をかけた。
「あんた何してるの?」
「いや、今暇でね」
 アメリカの娘は笑って答えた。
「一人であちこち巡ってるの」
「そうなのね」
「気の向くままにね」
「私もね」
 留奈は自分もと話した。
「そうなのよ」
「じゃあ一緒に行く?」
 それならと言うのだった。
「そうする?」
「二人で」
「ええ、久し振りに会ったしね」
「あんた農業科に行ってね」
「あんたは商業科でね」
「それぞれ別々になったし」
 それでというのだ。
「本当に会ったの久し振りね」
「それでこれも縁だから」 
 こう留奈に言うのだった。
「どうかしら」
「そうね、縁は大事にしないとね」 
 留奈もそれならと応えた。
「じゃあ二人で」
「行きましょう」
「それじゃあね」
 こう話してだった。 
 留奈はアメリカの娘と二人で文化祭巡りをすることになった、そして実際にクラスや店を観て回ってだった。
 売っているお菓子も買った、そして水飴を二人で一緒に歩きつつ食べているがアメリカの娘はこんなことを言った。
「こういうのアメリカにもないのよね」
「水飴?」
「そう、ないのよ」
 こう言うのだった。
「これがね」
「あんたテキサスよね」
「テキサスでもないわ」
 こう答えた。
「アメリカ全体でね」
「何でもありそうだけれどね」
 留奈はその娘の話を聞いて思って言った、一緒に校舎の老化を歩きつつ。
「そうでもないのね」
「アメリカが何でもあるかっていうと」
「違うのね」
「ないもの結構あるわよ」
 留奈に真面目な顔で答えた。
「これが」
「そうなのね」
「ええ、あとね」
「あと?」
「私としては今色々なものが売られてるでしょ」
「お店でね」
「それでタコスあったのがね」
 今度は笑顔で話した。
「嬉しいわ」
「メキシコ料理だから」
「そう、タコスって時々食べたくなるのよ」
「あんたメキシコ系だしね」
「テキサスでもね」
 故郷であるそちらにいてもというのだ。
「嬉しいわ」
「そうなのね」
「まあ味はね」 
 それはというと。 
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