敵が怖過ぎて
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第二章
「視聴率が伸びないね」
「あの、子供が怖がって」
「それで観ないんです」
「あの悪役が怖いって」
「怖過ぎるって言ってます」
「うちの子も言ってます」
スタッフ達は口々に言った。
「気持ち悪いって」
「もう皆あの悪役が嫌みたいです」
「あまりにも怖くて」
「そして気持ち悪くて」
「あの悪役がいますと」
「おそらく」
「そうだね、子供達の感想聞いても」
冨野は視聴者からの手紙子供達のそれを出して話した。
「そう言ってるしね」
「あの悪役ですね」
「怖いって皆言ってますね」
「いなくなって欲しいって」
「いると観なくないって」
「そう言っていますね」
「これはね」
どうにもと言うのだった。
「退場してもらうしかないね」
「あの悪役には」
「そうしましょう」
「それしかないです」
「本当に視聴率悪いですから」
「そいうしないと駄目です」
「これまでの宇宙人や怪獣じゃなくて」
冨野は腕を組んで言った。
「異次元からの侵略者でね」
「人の心に付け込む」
「悪意を全開にした」
「そして人を苦しめる」
「そうして喜ぶ感じにしましたけれど」
「それがね」
そうした悪役にしたがというのだ。
「これがね」
「やり過ぎましたね」
「怖くなり過ぎましたね」
「そうなりましたね」
「これは」
「うん、ただ暴れたり侵略じゃなくて」
そうではなくというのだ。
「そうした心を攻めて」
「相手を苦しめる」
「それを見て嗤う」
「そんな人間の悪意を出しましたが」
「よくなかったですね」
「子供もわかって」
人間の悪意がというのだ。
「それがね」
「あまりにも怖く」
「気持ち悪くなって」
「それで観なくなりましたね」
「嫌になって」
「うん、悪役もキャラが立たないと駄目だけれど」
それでもというのだ。
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