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蛙の鳴き声

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第一章

                蛙の鳴き声
 漫画家の長谷仁之色白で面長で細い目に薄い唇とショートの黒髪を持つ一七〇位の痩せた彼は田舎に引っ越した、インターネットがあればアマゾンや通販で必要なものは買えるし車でスーパー等にも行けるからだ。
 それでだ、田舎の一軒家で一人暮らしをはじめたが。
「周り田んぼですか」
「はい、そうです」 
 担当の久保永水穂面長の顔で丸い目に黒髪をショートにした一六〇位の背のすらりとしたスタイルの彼女にスマートフォン越しに言った。
「ご近所の農家の人達の」
「そうですか」
「はい、それでご近所と言ってもお家同士離れていて」
「近所付き合いもないですか」
「そうです、ですが快適です」
 そうだというのだ。
「スーパーとかコンビニも行けますし」
「車で、ですね」
「それにネットの通販もありますから」
「困っていないですか」
「勿論ガスも水道も通っていて」
 それでというのだ。
「お風呂も洗濯も新しいですし冷暖房もあって」
「都会にいるみたいに暮らせますか」
「むしろ都会みたいに変な人いないんで」
 だからだというのだ。
「安心してです」
「暮らしていけますか」
「仕事も順調です」 
 長谷はこちらの話も忘れなかった。
「そっちに送らせてもらいますんで」
「はい、待っていますね」
「宜しくです」
 こうした話をしてだった。
 長谷は田舎暮らしを満喫しつつ仕事をしていった、その中で久保永は仕事で彼の家にまで東京の出版社から来たが。
 そこでだ、こう言われたのだった。
「あの、確かに田んぼだらけですね」
「いいですよね」
「あの、でしたら」 
 居間で長谷が出したお茶を飲みつつ言った。
「夜とか大変じゃないですか?」
「何がですか?」
「蛙がいますよね」
 それでとだ、久保永は卓を挟んで座る長谷に言った。 
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