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古い友達

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第二章

「飲んで食うぞ」
「わかりました」
 書生も頷いた、そうしてだった。
 仕事をしてそれが終わると板垣が来たので二人で和室に移った、そうして実際に安い酒にその辺りで獲れた魚の刺身に天婦羅をだった。
 食べた、ここで板垣は笑って言った。
「美味いのう」
「安い酒だぞ」
 後藤は笑って返した。
「それがだな」
「実に美味い」 
 こう後藤に返した。
「刺身もな」
「鮪だ」
「そうだな、この赤身は」
「それで天婦羅は小さな海老に烏賊だ」
「どちらも美味いな」
「わしもだ」
「おまんはあれだろ」
 板垣は後藤に土佐の言葉も交えて言った。
「金勘定はどうでもよくてな」
「美味いものならいいがな」
「それでか」
「そうだ、おまんと一緒だからな」 
 それで飲んで食べているからだというのだ。
「まっことな」
「美味いか」
「長い付き合いだな」
「ああ、子供の頃からのな」
「そのおまんとこうして飲んで食うからな」
 だからだというのだ。
「わしも同じだ」
「美味いか」
「そう感じる」
 そうだというのだ。
「まっことな」
「それを言うとだ」
「おまんもだな」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「おまんと飲んで食うからな」
「美味いな」
「長い付き合いだ」
「古いな」
「色々あったがな」
 喧嘩もした、しかしというのだ。
「そうしたことも含めてな」
「味があるな」
「こうして飲むとな」
「だから美味い」
「これ以上なくな」
 こう話してだった。
 二人は飲んで食べた、そしてそれが終わると後藤は板垣を玄関まで見送った、そのうえで書生に対して言った。
「今日はよかった」
「板垣様と飲んで食べられて」
「そうだった」
 心から言うのだった。
「本当にな、それでこれから寝るが」
「そうされますか」
「その時も夢でな」 
 その中でというのだ。
「退助とだ」
「飲まれますか」
「そうするぞ」
 起きた時も飲んでというのだ、こう言ってだった。
 後藤は寝た、そして起きて書生に夢での酒も美味かったと言った、板垣と飲む酒はその時も最高であるとだ。


古い友達   完


                  2025・1・17 
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