星河の覇皇
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第八十七部第五章 外の世界の動きを無視しその六十五
「そうしてだ」
「彼等の失政に苦しむ」
「そして失敗を悟ってだ」
「次選挙では正しい投票をする」
「そうしてきた、もっとも最善はな」
それはというと。
「これがだ」
「ないですね」
「世の中にはな」
「人間はどうしてもです。また言いますが」
八条はこう前置きしてキロモトに述べた。
「完璧ではありません」
「だから間違いをしてな」
「最善もです」
「そうはないな」
「ベターはあります」
「ましだのいうこともな」
「あります、最悪があり」
「ましということもな」
「美味しいが食べると身体を壊すものと」
「まずいが身体を壊さない、だな」
キロモトも応えた。
「その二つしかない場合もあるな」
「政治の世界では」
「そうだ、だが選べるだけだ」
「いいですね」
「まだな、勿論政治家は最善を目指すべきだが」
それでもというのだ、やはりキロモトはデマコーヴァではない。心ある政治家としてこう思い言うのである。
「しかしな」
「有権者がどう思うか」
「市民がな」
「それは別ですね」
「だからだ」
それ故にというのだ。
「市民がどう思うか。無論政治家も市民でだ」
「そう思う時もありますね」
「そのどうにもならない二択だとな」
「そうですね」
「しかしまだ選べるだけだ」
「いいですか」
「最悪はな」
これはというと。
「選ぶこともだ」
「出来ない制度もありますね」
「まずくて身体も壊す」
その例えをそのまま出しての言葉だ。
「そうしたどうにもならないものしかな」
「なくてしかも選べない」
「そうした場合もだ」
「ありますね」
「腐敗した独裁国家はな」
「そうですね」
「だからまだだ」
市民のそうした視線、彼が政治家になる前によく言われたことを思い出しながらそのうえで八条に話した。
「選択出来るならな」
「いいですね」
「そうだ、そしてましな方をな」
「選ぶこともですね」
「民主政治だ」
「左様ですね」
「それでだ」
キロモトは言葉を続けた。
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