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ハッピークローバー

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第百五十四話 仮面その十二

「下着の色なんてな」
「言わないことね」
「もっと言えばな」
 それこそというのだ。
「それからもな」
「就職してからも」
「そうだよ」
 その時からもというのだ。
「そんなこと言うのはな」
「鳴海って真面目ね」
「真面目か?」
「かなりね」
「俺は別にな」
「だって明男なんて」
 弟はというと。
「この前うちでお友達とお話していたけれど」
「どうなんだよ、あいつ」
「彼女さんできたらね」
「そうしたことしたいってか」
「言ってるから」
「いや、それは普通だけれどな」
「じゃあ鳴海っちも」
 鳴海に笑って話した。
「そうしたことしたいのね」
「そうだよ」
 その通りだというのだ。
「もうな」
「それじゃあ」
「けれどな」
 それでもというのだ。
「やっぱり就職してからな」
「するのね」
「そうしないとな」
 さもないと、というのだ。
「もうな」
「駄目なの」
「せめて大学に入ってな」
「成人になってから」
「二十歳な」
 まさにこの年齢にというのだ。
「ならないとな」
「したら駄目なの」
「若しだよ」
 鳴海は極めて真面目な顔で言った。
「子供出来たらどう育てるんだよ」
「そうしたことして」
「ああ」
 まさにというのだ。
「どうするんだよ」
「いや、コンドーム使ったら」
 かな恵はあっさりとした口調で答えた。
「もうね」
「出来ないか」
「その為にあるじゃない」
 コンドームはというのだ。
「性病予防にもなるけれど」
「いや、それでもできる時はな」
「できるの」
「だからな」
 それでというのだ。
「最初からな」
「しないのね」
「そうだよ」
 絶対にというのだ。
「俺はな」
「慎重ね、じゃあ明男と同じで」
 ここでまた弟のことを話した。
「自分で」
「言わなくていいだろ」
「こうしたことは」
「そうだろ」
 カレーを食べつつむっとした顔で告げた。
「もうな」
「そうね、別にね」
「言うことじゃないだろ」
「こうしたことはね」
「だからな」
「言わないのね」
「ああ」
 そうするというのだ。
「俺はな、ただな」
「ただ?」
「言わなくてもわかるだろ」
 こうしたことはというのだ。
「もうな」
「そう言われたら」
「あとな」
 鳴海はさらに話した。
「明男も口ではそう言ってもな」
「彼女さん出来たらって」
「出来てもな」
 その交際相手がというのだ。
「それでもあいつ奥手だろい」
「結婚女の子とお話するの苦手よ」
「だからな」
 それでというのだ。
「そうしたことはな」
「出来ないのね」
「むしろな」
「むしろ?」
「女の子方からだよ」
「誘わないとなの」
「できないだろうな」
 こう言うのだった。
 
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