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星河の覇皇

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第八十七部第五章 外の世界の動きを無視しその五十一

「ですがそれと同じだけ」
「創業もだな」
「国家の土台を築くことも」
 このこともというのだ。
「困難です」
「創業でしくじるとな」
「折角の統一が不意になります」
「再び戦乱に陥ることもあるな」
「晋の様に」
 八条はここで中国のこの王朝の名前を出した、三国時代の後に中国を統一した司馬氏の王朝である。
「なります」
「あの国か」
「あの国は確かに統一を果たしましたが」
「それでもだったな」
「皇帝は創業の治世を怠りました」
 司馬炎である、司馬氏の祖とされる司馬懿の孫である。
「統一した後は」
「後宮に入り浸ってだな」
「何もしませんでした」
「創業を怠ったな」
「そしてそれがです」
「折角の統一を不意にした」
「一族を抑えず太子の后選びも失敗し」
 そうしたことを怠ってというのだ。
「結果としてです」
「太子が皇帝になるとな」
「その后、皇后が専横を極め」
「そこから皇族が次々に権力闘争に加わった」
「軍を用いてまでの」
 そして国家は内乱状態に陥ったのだ。
「俗に言う八王の乱に入りました」
「あれで晋は決定的に崩壊したな」
「国家として」
「そしてだったな」
「後に残ったのは」
 それはというと。
「荒廃した国土とです」
「屍の山だけだった」
「創業の仕組みなぞあらず」
「どうにもならなくなっていたな」
「そしてそこに異民族が侵入し」
 もっと言えば八王の乱の時に既に諸王が自分達の兵として入れていた。
「そうしてでした」
「晋は滅んだな」
「江南に勢力を持ちましたが」
「中国の北部は戦乱に支配された」
「そして隋の統一まで一つになりませんでした」
「そうだったな」
「若し晋が創業に専念していれば」
 統一の後そうしていればというのだ。
「晋は滅びず」
「中国が再び乱れることもなかったな」
「長命の政権はまずです」
「創業を固めているな」
「我が国では徳川幕府です」
 二百六十年以上に渡って続いたこの政権だというのだ。
「やはりです」
「まずはだな」
「治世に専念しました」
 創業のそれにというのだ。
「統治の仕組みと法律を整えました」
「幕藩体制に諸法度だな」
「それを整えたので」 
 だからだというのだ。 
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