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第百五十四話 仮面その一

               第百五十四話  仮面
 かな恵は夕食は鳴海と共に摂った、一緒にカレーを食べているがここで鳴海はかな恵にこんなことを言った。
「俺このカレーもいいけれどな」
「美味しいわね」
「母ちゃんのカレーも好きでな」
 こうかな恵に言うのだった。
「かな恵のカレーもだよ」
「好きなの」
「そうなんだよ」
「鳴海っちカレー好きだしね」
「好きだけれど何でもじゃないんだよ」
「そうなの」
「だから今言ったな」
 まさにという口調だった。
「そうしたカレーだよ」
「おばさんや私が作ったカレー?」
「ルーがとろりとしたな」
「あっ、和風の」
「そうしたカレーが好きなんだよ」
「そうなのね」
「あと自由軒のカレーもだよ」
 この店のカレーもというのだ。
「小説に出てた」
「難波にある」
「あのカレーも好きだよ」
「あのカレー前一緒に食べたけれど」
「いいよな」
「あそこのカレーもいいわね」
 かな恵も笑顔で応えた。
「確かに」
「そうだよな」
「あのカレーはカップルで食べるものなの」
「ああ、小説がそうなんだよな」
「織田作之助さんのね」
 かな恵はまさにと答えた。
「夫婦善哉で出て来たけれど」
「俺が今言った小説だな」
「そう、その小説の中でね」
「カップルで行ってたんだよな」
「法善寺横丁の夫婦善哉もね」
「それでだよな」
「だから前も行ったし」
 かな恵は今は普通のカレーを食べつつ応えた。
「今度もね」
「行くか」
「そうしましょう」
「それじゃあな、まあさらりとしたルーのカレーもな」
 鳴海はこちらのカレーの話もした。
「嫌いかっていうとな」
「そうじゃないのね」
「やっぱりカレーだとな」
「好きなのね」
「具もだよ」
 こちらもというのだ。
「何でもな」
「好きなのね」
「ああ、牛肉でも鶏肉でもな」
「豚肉でも」
「野菜カレーも好きだし」
 こちらのカレーもというのだ。
「茸でもシーフードでもな」
「本当に何でもね」
「カツカレーだってな」
 こちらのカレーもというのだ。 
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