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ドリトル先生の長崎での出会い

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第三幕その四

「奥さんもおそらくね」
「ご主人の行いを知って」
「悪いと思っていたね」
「そうだったね」
「原罪の様な罪悪感に苛まれながら」
 そのうえでというのです。
「お子さんを育てていただろうけれど」
「辛かっただろうね」
「とてもね」
「そうだっただろうね」
「そう思うよ、そしてね」
 それにというのです。
「当時は人種的偏見も強かったし」
「アメリカでもね」
「何かとあったよね」
「イタリア系、アイルランド系、ドイツ系にもあって」
「アフリカ系や中国系の人にも」
「メキシコ系の人達にだって」
「当然日系人もで」
 そうであってというのです。
「日本人とのハーフのお子さんも」
「何かとあっただろうね」
「イサム=ノグチさんみたいな人もいたし」
「偏見に苦労しただろうね」
「お子さんも」
「そうした時代を生きて」
 そうであってというのです。
「果たしてどうなったか。その人のご家族も子孫の人達も」
「どうなっただろうね」
「二次大戦もあったし」
「そして収容所に送られたかも知れないし」
「大変だっただろうね」
「日系人収容所は悪名高いけれど」
 先生はアメリカのかつての歴史のお話もしました。
「実は西海岸に住んでいた人達が対象で」
「他の地域に住んでいた人達は送られてないんだ」
「そうだったんだ」
「全ての日系人がそうだと思ったら」
「違ったのね」
「そうなんだ、ワシントンやハワイにいた人達は送られていないよ」 
 そうだったというのです。
「何かすると思われていなかったし。それに日系人を守った人達もいたんだ」
「心ある人もいたんだね」
「当時のアメリカにも」
「そうなんだね」
「人は時として醜い行いをするけれど」
 それでもというのです。
「素晴らしい行いもね」
「するね」
「そうしたものだね」
「同時に」
「そうだよ、事実日系人を迫害した当時のカルフォルニア州の知事がね」 
 この人がというのです。
「後で公民権運動で最高裁判所長官としてアフリカ系の人達の権利を認めたんだ」
「差別を行った人が差別を否定した」
「悪いことをした後でいいことをした」
「そうなんだね」
「二次大戦の頃は堂々と差別を言って」 
 そうしてというのです。
「後で反省してね」
「アフリカ系の人達の未来を切り開いたんだ」
「そうなんだね」
「キング牧師やマルコムエックスと同じく」
「そうしたんだね」
「そうだよ、人程難しいものはないね」
 こうも言う先生でした。 
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