星河の覇皇
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第八十七部第五章 外の世界の動きを無視しその三十九
「あってはならないことです」
「だからこそですね」
「こうした時は」
国家の命運を賭けた一大行事の時はというのだ。
「私もです。些細なことは」
「些細でしょうか」
ギルフォードはそれはどうかと言った。
「立派な心遣いでは」
「実際に参加している彼等の苦労を思えば」
それはというのだ。
「まさにです」
「些細ですか」
「そうです、ですから」
「そう言われますか」
「はい、そして」
ブラウンベルグはさらに言った。
「手紙を書かせてもらい」
「送られましたか」
「そうさせてもらいました」
「そうですか」
「この度のことは大航海時代の再来ですね」
「そうなります」
ギルフォードは確かな声で答えた。
「まさに」
「新天地を求めた」
「あの時はプレスター=ジョンの国を探してでした」
当初の目的はそうであった、この伝説のキリスト教徒の国と同盟を結びイスラム勢力を挟撃するつもりだったのだ。
「ですがこの度は」
「新天地を手に入れて」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「さらにです」
「富を得ますね」
「胡椒や銀だけでなく」
ギルフォードはその目指す富をこう表現した。
「さらにです」
「素晴らしいものをですね」
「手に入れまして」
そうしてというのだ。
「エウロパを発展させます」
「そのおつもりですね」
「左様です」
まさにというのだ。
「私は」
「大航海時代から欧州は発展しましたが」
ブラウンベルグはその歴史のことも話した。
「この度もですね」
「そうです、発展のはじまりです」
「そうした非常に大きなものなので」
「参加する民達にもですか」
「せめてもの激励と思いまして」
それでというのだ。
「送らせてもらいました」
「そうでしたか」
「そしてです」
彼はギルフォードに言葉を続けた。
「帰って来たならば」
「その時は」
「領地に招いて」
そうしてというのだ。
「宴にもです」
「招かれますか」
「そのつもりです」
「そこまでお考えですか」
「先の戦役でもそうしました」
エウロパ戦役でもというのだ。
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