世界の礎
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第一話その六
「思わせるのだ」
「そうしますか」
「そうだ、私が来てからこの国は侵略を受けていないが」
「幸いにして」
「守る為に戦うが」
そうするがというのだ。
「しかしだ」
「それでもですか」
「みだりにはな」
「攻めずですね」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「大軍の威容をだ」
「見せて」
「そうしてだ」
「戦ってもですか」
「そうだ」
カニにまさにと答えた、義青はその顔を強いものにさせてそのうえで彼に対してさらに話すのだった。
「勝てないことをな」
「わからせるのですね」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「我々の国に入ればな」
「そうすればですか」
「命も富もそのままでだ」
「安全もですね」
「保証してな」
そうしてというのだ。
「民として治める」
「そうされますか」
「それと次第にだが」
「次第に?」
「奴隷だが」
この制度はというのだ。
「なくしていく」
「奴隷は、ですか」
「そうだ、奴隷は貴重な労働力だが」
それでもというのだ。
「平民の方がだ」
「質がいい」
「そうだ、出来る限り多くのものを教え」
そうしてというのだ。
「単純に働くだけでなくな」
「平民達の様にですか」
「ある程度でも複雑に働いてもらう」
「そうされますか」
「基本奴隷は粗末にされていないが」
「高価な財産です」
カニはすぐに答えた。
「ですから」
「奴隷は粗末に扱えないな」
「とてもです」
それこそというのだ。
「その様には」
「そうだな」
「奴隷を持てる家は」
「それなり以上に裕福だな」
「左様です」
「その奴隷がおらずとも不便がない様にな」
「していかれますか」
「使用人はいいが」
その立場で働く者達はというのだ。
「しかしだ」
「奴隷は、ですか」
「私自身好きではないが」
奴隷はというのだ。
「私の起きた世界ではな」
「奴隷は存在しませんか」
「少なくとも私の国ではな」
日本ではというのだ。
「そうであってな」
「それで、ですか」
「私は奴隷制を廃止していく」
「そうされますか」
「貴族はあってもいいが」
しかしというのだ。
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