| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

世界の礎

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

第一話その一

         世界の礎
              第一話  最初にすべきこと
 その話を聞かされてだ、彼は光の世界の中で自分に語る声に問うた。
「では私はか」
「まずはです」
 声はその彼、八条義青に話した。世界的な企業グループ八条グループ経営家である八条家の中でも極めて優秀なことで知られる彼に。
 見れば細い顔で整った顔をしている、黒髪を奇麗にセットしていて黒い目は強く輝いている。背は高くすらりとしている。
「この世界のことをお話しましたので」
「それでだな」
「この世界の礎を築いて欲しいのです」
「この世界のことは聞いたが」 
 義青は静かに述べた、今は最高級のスーツ姿である。
「まだ文明が発祥した頃か」
「数千年前に」
「だが文明が発祥してもな」
「数千年の間は」
「ただ農業等を営みな」
「暮らしているだけです」
「それぞれの街や村でな」
 まさにというのだ。
「国家もだ」
「成立していても」
「未熟だ、その世界の礎をだな」
「貴方に築いて頂きたいのです」
 声は義青に述べた。
「これより」
「それが私の務めか」
「こちらの世界での」
「眠ればだな」
「こちらの世界に来ます」
「そして起きればだな」 
 その時はというと。
「私がいる世界に戻るな」
「元々の」
「そのこともわかった」
 義青は確かな声で答えた。
「存分にな」
「そうなのですね」
「そして私もこの世界に興味を持った」
 声に光に覆われた世界の中に立ったうえで微笑んで答えた。
「ではだ」
「これよりですね」
「世界の礎を築こう、だが」
「だが?」
「私は徒手空拳だ」
 今の自分のことをというのだ。
「それでは幾ら強くともだ」
「この世界でのレベルは三百、種族は人間で職業は政治家です」
「そうなっているな、政治家なのはいい」
 職業はというのだ。
「この世界の礎を築くにはな」
「それにはですね」
「まさにだ」
「政治家は適任ですね」
「見ればステータスや特技もな」
 これもというのだ。
「かなりだ、世界の礎を築くに相応しい」
「そうですね」
 声もまさにと答えた。
「私も思います」
「しかしだ」
「徒手空拳ですか」
「今の私はな、これでは何も出来ないからだ」
 それ故にというのだ。
「知恵、知識が欲しい」
「この世界についての。もうそれは今」
「教えられたな」
「そうですが」
「違う知識だ」 
 こう声に返した。
「世界の礎を築くだ」
「そうした知識がですか」
「欲しくてな」
 それでというのだ。
「何とかしたいが。塔があったな」
「神々の塔ですか」
「まずはその塔を踏破してだ」
 そうしてというのだ。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧