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金木犀の許嫁

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第四十七話 須磨の海その十二

「それでなんだ」
「そうしたお家はお婿さんに入ってもらって」
「家を継いでもらって」
 そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「お家を続けていったのね」
「そうだよ、女の子しかいなくても」
「養子さんを迎えるのね」
「お子さん自体いなくても」
 そうした場合でもというのだ。
「養子さんを迎えるから」
「お家は続けるのね」
「そして江戸時代から今までね」
「猿飛家も他のお家も続いてるのね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「信之公のお家は」
 真田家の嫡流と言っていいこの家はというと。
「もう真田家の血はね」
「松平家だから」
「もうないね」
「そうよね」
「けれどお家はね」
 これ自体はというのだ。
「ちゃんとね」
「残ってるわね」
「それならいいんだよ」
「お家としては」
「血はつながっていなくても」
 例えそうであってもというのだ。
「武士のお家はね」
「お家が続けばいいのね」
「そう、そして」
 そのうえでというのだ。
「お寺も天理教の教会もそうで」
「お家が続く」
「そうなることが大事なんだ」
「それで私も佐京君と結婚して」
「お家続けよう、あと白華も」
 妹である彼女もというのだ。
「将来はね」
「結婚して」
「そうしてね」
「お家続けているのね」
「分家としてそうなるか」
 若しくはというのだった。
「十勇士の何処かのお家に入って」
「お嫁さんになるのね」
「そうなるかもね、ただ誰と結婚しても」
「いいの」
「うん、実はうちも今は家を続けるなら」
 そうであるならとだ、佐京は夜空に話した。家を継いで続けることは絶対だがそれでもというのである。
「誰と結婚してもいいから」
「そうなの」
「真田家もそうで」
「十勇士のお家もなの」
「そうだよ」
 こう夜空に話した。
「実はね」
「そうだったのね」
「俺達は許嫁同士だけれど」
「誰と結婚してもいいのね」
「身分のない時代で」
 今はというのだ。
「幸せになるならね」
「お家を続けたうえで」
「それならいいよ、あとね」
「あと?」
「やっぱり基本長男だと」
 その立場ならというのだ。 
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