おぢばにおかえり
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第八十三話 回廊ひのきしんその七十
「ですがそれでもです」
「ちっちに今みたいに言ったことは」
「嬉しいです、有り難うございます」
「え、ええ」
「このことも忘れないですから」
「忘れないのね」
「先輩と僕のことを言ってくれたことは」
真面目なお顔で、です。新一君は言いました。
「忘れないです」
「そうなのね」
「はい、絶対に。あとです」
新一君はさらに言いました。
「貴女は先輩をとても大事にしてくれますね」
「だってね。同じお部屋だったから」
先輩は新一君に答えられました。
「それに私も誰にもね」
「よくしないとって思われたんですね」
「貴方がいつも言っていることがあったから」
「それで、ですね」
「やっぱりね」
こう言うのでした。
「特にちっちは同じお部屋でしかも同じ高校でね」
「後輩の人でも縁が深かったから」
「だから」
それでというのです。
「大事にしてるの」
「そうですか、そのことも忘れないです」
こうも言うのでした。
「絶対に」
「そう、なのね」
「はい、先輩を大事にしてくれるなら」
私の方を見て言うのでした。
「嬉しいです、これからもずっとお願いしますね」
「約束するわ」
先輩は新一君に確かな声で答えられました。
「そのことは」
「わかりました、お願いします」
「あの、新一君がそう言ってくれたら」
私はここまで聞いて言いました。
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