八条学園騒動記
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第七百八十話 好色一代男その十二
「同性愛もね」
「否定していたな」
「今は違ってもね」
「昔はそうでな」
「それでね」
これはキリスト教の価値観に基づくものだ。
「排他していたから」
「馬鹿だな、あいつ等」
「そう、そしてね」
そのうえでというのだ。
「日本ではそうしたこともね」
「問題にならなかったんだな」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「全くね」
「幾ら何でもな」
「ないよね」
「後世に伝えるなんてな」
「同性愛をね」
自分のそれをというのだ。
「それも誰とどうしたか」
「生々しいな」
「そしてね」
ベンはさらに話した。
「女の人の役になって」
「本当に生々しいな」
フックも聞いて驚いた。
「そこまで書いているのか」
「その人が身分の低い人で」
「身分関係なくか」
「日本の貴族って欧州よりもずっと穏健だったからね」
「それでか」
「民衆の人達も人間と見ていたから」
「低く見ていてもか」
ベンにこのことを確認した。
「それでもか」
「中にはそうでない外道もいたけれど」
「大抵の貴族の人達はか」
「お公家さん達はね、民族同じだしね」
「同じ日本人か」
「大和民族っていう」
この時代でも日本人は多くはそうだと言われている、ただし連合のことなので混血はかなり進んでいる。
「縄文人と弥生人の混血で」
「お公家さんも民衆もか」
「だからね」
「同じ人間とみなしていたんだな」
「それで身分の低い人ともね」
「お付き合いしてか」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「身分が低い人で自分が女の人の方に回って」
「そこまで書くか」
「そしてね」
その結果というのだ。
「荒々しかった、不敵不敵とかね」
「書いたんだな」
「赤裸々だよね」
「赤裸々過ぎるな」
こうベンに返した。
「かなりな」
「うん、これが日本でね」
そうであってというのだ。
「まだあるよ」
「あるのか」
「そう、それでね」
ベンはフックに話を続けた、日本文学のそうした話を。
好色一代男 完
2024・9・16
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