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ドリトル先生の長崎での出会い

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第一幕その七

「一切ね」
「ううん、そこまでいくと」
 王子は先生のお話をここまで聞いて唸りました。
「先生と一緒に色々な人を見てきて」
「ならず者だって見てきたね」
「欲の深い人もね」
「そうだったね」
「けれどね」
 それでもというのです。
「そこまで酷い人はね」
「見たことがないね」
「最早人ですらないかな」
「怪物だね」
 先生ははっきりと言いました。
「最早ね」
「エゴの怪物だね」
「もう人間のいい部分なんてね」
 それこそというのです。
「ないよ、思いやりや優しさ」
「羞恥心もだね」
「反省もね」
「一切ないんだね」
「そう、そうなったら」
 先生はさらに言いました。
「もうね」
「人間じゃなくてだね」
「怪物だよ」
「怪物にまでなったら」
「もうどうにもならないよ」
 そうだというのです。
「勿論信仰心だってないしね」
「神様も信じないね」
「そうだよ、自分だけでね」
「信仰心もないね」
「こうした人にならない様にして」
 そうしてというのです。
「こうした人の言うことは信じない」
「絶対にだね」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「こうした人が出てきたら」
「絶対に何とかしないと駄目だね」
「さもないと大変なことになるよ」
 先生は王子にきっとしたお顔になって言いました。
「若し力を持ったらね」
「大変なことになるね」
「その人が私利私欲を貪って」
 そうなってというのです。
「他の皆がね」
「大変なことになるね」
「こうした人の周りにいる人達もね」
「碌なものじゃないね」
「類は友を呼ぶでね」
 そうであってというのです。
「本当にね」
「とんでもない人達が集まって」
「そしてだよ」
 そのうえでというのです。
「おぞましいまでに腐敗した世界になるよ」
「怪物の周りには碌な人がいないから」
「その人に群がって自分達もいい思いをする」
「そうしたいだけの人が集まってね」 
 先生はとても嫌そうに言いました。
「本当にね」
「恐ろしいことになるね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「恥を知らないからね」
「その人も周りにいる人達も」
「ただ自分だけで」
「いい思いをしたいだけで」
「もうね」
 それこそといいうのです。 
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