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先生の遠足のお弁当

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第一章

                先生の遠足のお弁当
 今日は学校の遠足だった、当然生徒達だけでなく先生も参加する。
 小森公佳は担任を務めている生徒達を見守りながらリュックサックを背負って歩いていた。黒髪を後ろで束ねていて面長で大きな丸い目に八重歯が見える小さな唇に一六二位のすらりとしたそれでいて実に見事なスタイルの持ち主だ。
 公佳は生徒達が疲れていないか観つつだ、彼等に笑顔で言った。
「あと少ししたらお昼だからね」
「はい、それまでですね」
「頑張るんですね」
「歩くんですね」
「疲れている子もね」
 観れば何人かそうした子もいる。
「あと少しだから頑張ってね」
「わかりました」
「頑張ります」
「頑張って歩きます」
 公佳が受け持っている生徒達はいい子ばかりで素直に頷いた、そうしてだった。
 彼等は頑張って歩いた、そしてだった。
 お昼を食べる草原に着くとそれぞれビニールを敷いてその上に靴を脱いで座った。それは公佳も同じで。
 そうして座ってだ、自分の弁当を出したが。
「あれ、小森先生そのお弁当ですか」
「はい、そうです」
 別のクラスの担任の西沢明音に答えた、明音は黒髪を短くした丸顔で大きな二重の目に大きな灯唇を持つ小柄な女性だ。年齢は二人共二十代後半である。
「今日は」
「パンなんですね」
「サンドイッチです」
 公佳は笑顔で答えた。
「私が作ったんですよ」
「いや、サンドイッチなんて」
「見ればそうした子いないですね」
「皆お握りですね」
「実は」
 ここで公佳は明音に小声で囁いた。
「今交際している人イギリス人で」
「あっ、イギリスはパンで」
「元々サンドイッチはあの国のお料理ですね」
「はい」
 明音はそうだと答えた。
「そうですね」
「それでなんです」
 だからだというのだ。
「同棲していて」
「パンを食べることが多いんですね」
「ご飯と半々ですね」
 食べる割合はというのだ。 
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