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地味なお客の正体

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第三章

「作家さんは外見じゃないからな」
「地味でないといいですね」
「それでお客さんでもな」
 そうであってもというのだ。
「別にな」
「何も悪くないですね」
「ああ」
 実際にというのだ。
「本当にな」
「何一つとして」
「そうだしな」
「問題を起こさなかったら」
「誰だってな」
 それこそというのだ。
「問題ないだろ」
「地味でも作家さんでも」
「お客さんでな」
「誰にも迷惑かけないのな」
「来店されたことがわかれば」
 それならというのだ。
「それでな」
「いいですか」
「ああ、じゃあこれからもな」
 欠端は友希に笑って話した。
「あのお客さんが来たらな」
「お迎えして」
「チャイムが鳴ったらな」
「いつもの席にご案内して」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「注文してくれたメニュー出そうな」
「ラーメンですね」
「いつものな」
「それをお出しして」
「食べてもらうな」
「わかりました」
 笑顔で頷いてだった。
 友希はその様にした、その客が作家であることはもう言わなかった。そうして客のプライベートも守って彼の来店と注文を受け続けたのだった。


地味なお客の正体   完


                     2024・12・17 
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