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地味なお客の正体

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第二章

「それでね」
「サイン会も開けるのね」
「そうなの、どう?」
「それじゃあ」
 友希は愛美の言葉に頷いた、そしてだった。
 二人でサイン会に出た、そのうえで本にサインをしてもらったが。
「有り難うございます」
「この人は」
 その作家にサインをしてもらってだった、友希はその後で愛美に話した。
「うちのお店の常連さんよ」
「あんたファミレスでアルバイトしてるわね」
「大学の近くのね」
「そうよね」
「それでね」 
 友希はさらに話した。
「毎日来てくれるのよ」
「本当に常連さんね」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「ラーメン頼んでくれるの」
「毎日なのね」
「決まった時間に来てくれてね」
「ファミレスって色々メニューあって」
「確かにラーメンもあるけれど」
「他にもあるわね」
「ハンバーグとか海老フライもあるし」 
 友希がアルバイトをしている店はというのだ。
「ランチでね、カレーやスパゲティもあるし」
「色々よね」
「某ガストみたいな感じであるけれど」
 色々なメニューがというのだ。
「いつもラーメンでしかもね」
「しかも?」
「ああした人で地味でね」
 そうした外見でというのだ。
「無口で存在感がないの」
「確かに無口だったわね」
 愛美が見てもだった。
「あの人」
「そうだったわね」
「しかも確かに地味だったわ」
「そうした人でお店に来られても」
「わからないの」
「入店した時にチャイムが鳴らないと」
 さもないと、というのだ。
「本当にね」
「そんな人なのね」
「ええ、けれドまさかそのお客さんがね」
「左先生とは思わなかったわね」
「とてもね、まさかのまさかよ」
 友希はこうも言った。
「驚いたわ」
「世の中狭いわね」
「そのことも実感しているわ」 
 こんなことも話した、そしてだった。
 愛美と一緒に帰っていった、そして店で欠端にもこのことを話すと彼は驚いた顔になって友希に言った。
「その作家さん知らないけれどな」
「それでもですか」
「本当にまさかだな」
「そうですよね」
「地味なお客さんがな」
 その人がというのだ。
「実は作家さんでな」
「しかも純文学で人気が出ているんですよ」
「いい作家さんだな」
「そうなんです」
「世の中狭いな」
「欠端さんもそう言われます?」
「ああ、ただな」
 ここで欠端はこんなことを言った。 
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