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おぢばにおかえり

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第八十三話 回廊ひのきしんその六十四

「変われるんなら絶対って言わないのだ」
「駄目ですか」
「そうよ、新一君も嫌いだった相手を好きになることがあるなら」
 それならです。
「私そこからおしこみさせてもらうわね」
「そうですか」
「ええ、嫌いな相手だとその嫌がること徹底的にするでしょ」
「はい、意識して探して」
「そういうこと絶対に駄目だから」
 言うまでもなくと思いました。
「だからね」
「それで、ですね」
「変えていくから」
 おしこみしていってです。
「本当にね」
「嫌い相手を好きになることですか」
「それ凄くいいことだし」
 何かを好きになるだけで、です。
「変われるからね」
「いいんですね」
「まして新一君は嫌いだと極端だから」
 この癖性分があるからです。
「一つずつでもね」
「好きな相手を増やすことですか」
「人だけでなくてね」
「何でもですね」
「そうよ」
 まさにその通りだと思います。
「嫌いな相手がなくなることもないけれど」
「どうしてもですか」
「人間好き嫌いあるから」
 どうしてもです。
「それでよ」
「誰でもですか」
「好き嫌いはあってね」
 それで、です。
「嫌いな相手がなくなることもね」
「ないですか」
「けれど減らすことは出来るから」
 このことはです。
「だからね」
「僕もですか」
「少しずつでもね」
「嫌いな相手をなくすことですね」
「それで嫌うレベルもね」
 新一君はむしろこちらの方が問題かも知れません。 
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